2021 Fiscal Year Research-status Report
設計想定外の極大地震作用に対する橋梁の構造制御法に関する基礎研究
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20K14816
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
井上 和真 群馬工業高等専門学校, 環境都市工学科, 講師 (50825982)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 複数回地震作用 / 橋梁 / 残存耐震性能 / 地震損傷制御 / 橋梁 |
Outline of Annual Research Achievements |
設計想定外の地震作用の中に,従橋梁の耐震設計手法では考慮されておらず,複数回の地震作用に対する橋梁の残存耐震性能に関する検討を地震被害調査や地震応答解析によって実施した. まず,研究期間に2021年2月および2022年3月福島県沖の地震による橋梁の被害調査を実施した.福島県・宮城県の周辺地域では、1978年の宮城県沖地震、2011年の東北地方太平洋沖地震、2021年および2022年の福島県沖地震と複数回の地震が発生しており,度重なる地震被害を生じており,被害の様相からも複数回地震作用に対する橋梁の耐震性能の評価が重要であることが確認できた. これらの地震に対して,新幹線の2層式RCラーメン高架橋の中層梁にせん断損傷が生じているが,本研究では2層式RCラーメン高架橋を対象に,中層梁の地震損傷が,残存耐震性能(余震に対する抵抗性)に与える影響を様々な振幅倍率の2回の地震動入力による非線形FEM地震応答解析によって評価した. 1回目の地震動入力に対する解析結果から,中層梁の損傷が先行するL2地震動では入力地震動の振幅倍率が0.8以下の範囲,K-NET竹原では入力地震動の振幅倍率が2.0以下の範囲では,IDA曲線の線形性が概ね維持できていることが読み取れる.これは,中層梁のコンクリートの圧縮軟化や中層梁の帯鉄筋の降伏が構造系全体の動的応答特性に与える影響は小さいということを意味し,中層梁の損傷が2層式ラーメン構造の残存耐震性能に与える影響は軽微である可能性があるといえる. また,中層梁の損傷を有した状態からの2回目の地震動入力に対する解析結果は,中層梁の損傷がある場合と損傷のない場合と比較して,最大応答変位は最大で20%程度大きくなることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では,地盤挙動や動的相互作用も含めた設計想定外の地震作用に対する橋梁の検討を実施予定であったが,2022年度に実施した解析的検討では,地盤挙動を考慮することができていない.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,設計想定外の地震作用に対する地盤挙動の傾向を把握し,動的相互作用を考慮した橋梁の損傷制御・震動制御手法の確立を目指す.また,複数回地震作用に対して,地震ごとの橋梁の残存耐震性能評価手法の検討も併せて実施したい.
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Causes of Carryover |
2020年度から全体的に研究の遂行が遅れており,打合せや調査,学会発表のための旅費や地震応答解析に必要なソフトの使用料などを支払う予定である.
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Research Products
(2 results)