2022 Fiscal Year Annual Research Report
繰返し吸排水履歴を受ける不飽和土の変形・破壊メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K14821
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉川 高広 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20771075)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不飽和土 / 吸水破壊 / 降雨 / 空気~水~土連成解析 / 弾塑性解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、降雨による地盤・土構造物の崩壊メカニズム解明を見据え、繰返し吸排水履歴を受けた不飽和土供試体が吸水により変形から破壊に至る三軸圧縮試験を実施するとともに、慣性力対応の空気~水~土連成弾塑性有限変形解析コードによるその数値シミュレーションを行うことで、まずは供試体レベルで変形から破壊に至るメカニズムを解明することを目的とする。 降雨による地盤・土構造物の被災が後を絶たないことを受けて、当初計画とは異なり、昨年度は既往の降雨模型実験の数値シミュレーションに、今年度はその次なるステップとして実被災事例となる熱海市逢初川盛土崩壊の数値シミュレーションに取り組んだ。その結果、降雨に伴う地下水流入により盛土底部が塑性体積膨張を伴う軟化挙動を呈することで盛土全体が崩壊に至ることを示した。 一方で当初計画通り、三軸試験機を用いて、昨年度までよりも緩い不飽和非塑性シルト供試体に対する吸水破壊試験とその数値シミュレーションも実施した。土骨格の構成モデルには、弾塑性構成式SYSカムクレイモデルと複合負荷弾塑性構成モデルを搭載する場合の2種類を採用した.その結果、実験の間隙圧上昇過程において観察された限界状態線q=Mp’下側での軸差応力の低下挙動は、複合負荷弾塑性構成モデルを用いると、Drucker-Pragerモデルが有する特徴により硬化挙動として表現可能であることを示した。 以上のように、慣性力対応の空気~水~土連成弾塑性有限変形解析コードにより、熱海市逢初川盛土の変形・破壊シミュレーションに成功し、実際の地盤・土構造物が降雨に伴う地下水流入により崩壊するメカニズムを示すことができた。また、緩い不飽和非塑性シルト三軸供試体の吸水による変形・破壊シミュレーションを通じて、様々な種類・状態の土が吸水により変形して破壊に至る挙動を再現するために必要な土骨格の構成モデルに関する知見を得られた。
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