2020 Fiscal Year Research-status Report
気候変動適応に向けた日本全国を対象とした台風を起因とする大雨リスクマップの作成
Project/Area Number |
20K14832
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
星野 剛 北海道大学, 工学研究院, 博士研究員 (40750625)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 豪雨 / 令和元年台風19号 / d4PDF / 台風経路 / 気候変動 / アンサンブル気候データ / 大雨リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
甚大な被害を引き起こした令和元年台風19号の降雨の特徴を台風の経路と降雨量の関係から分析した。過去の台風、台風19号のアンサンブル予報実験、大量アンサンブル気候データであるd4PDFを用いた分析を実施し、それぞれ台風の経路と降雨量の関係、数日スケールの予測からの台風19号の潜在的な降雨量、降雨量の温暖化の進行の影響を評価した。過去の台風事例を用いた分析から台風19号が東にずれた際に多くの地点で降雨量が増大していた可能性が示唆された。また、温暖化進行後の気候では台風の経路によらず降雨量は増大傾向にあり、秩父観測点では台風19号と類似の経路から東西方向に2度ずれたとしても従来の気候と同程度の降雨量となる傾向が示された。 また、流域における降雨の空間分布に着目し、降雨量の空間偏差が生じる要因を鉛直風速の頻度と鉛直風速と降雨強度の関係を用いて力学・熱力学効果に分類する手法を提案した。同手法を十勝川帯広基準地点流域における5 km解像度の大量アンサンブル大雨データに適用した結果、降雨の空間的な偏差に対しては熱力学効果が支配的であり、力学効果は日高山脈周辺での相対的な降雨量の高まりに寄与することがわかった。また、温暖化進行後では降雨量および降雨の空間的な偏差は大きくなるものの、力学・熱力学効果の空間分布は過去の気候の分布と類似しており、降雨偏差の要因は大きく変わらないことが示された。ただし、温暖化進行後の気候における空間偏差の高まりは日高山脈周辺では力学効果と熱力学効果、流域北東の大雪山系の一部では熱力学効果によりもたらされることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特定の台風(令和元年台風)と類似した経路の台風の抽出手法と降雨をもたらす要因分析手法を確立したことから、本研究の目的である台風を起因とする大雨リスクマップの作成のための準備が整った。これを全国的に適用することで本研究目標が達成される。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した台風の位置と降雨量の関係性の評価手法、過去の台風の経路と類似の台風の抽出手法、降雨をもたらす要因分析手法を日本全国に適用し、全国的な台風による大雨リスクを把握する。
|
Research Products
(7 results)