2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms and predictability of subseasonal variability of atmospheric rivers focusing on Madden-Julian Oscillation
Project/Area Number |
20K14833
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
取出 欣也 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員 (10865893)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Atmospheric river / MJO / PNA / Sub-seasonal / Predictability |
Outline of Annual Research Achievements |
大気中において水蒸気を大量に輸送し、各地に豪雨や洪水をもたらすAtmospheric River(AR)の予測改善は重要である。本研究では、ダム管理等に有効な季節内スケール(2-5週間)でのメカニズムの理解と予測改善研究を行った。既往研究では、熱帯における活発な対流活動が東進するマッデン・ジュリアン振動(MJO)の影響が指摘されていたが、本研究では特に中緯度の低周波振動の役割について調べた。不確実性の大きいMJOの位相情報に加え、MJOに依存性が少ない太平洋・北米パターン(PNA)の低周波成分を考慮するとARの予測精度を向上できることを発見した。また、MJO発生後に太平洋岸北西部にARをもたらしたイベントとそうでないイベントの違いを解析した。その結果、MJOに線形に依存しない中緯度の低周波振動に顕著な違いを発見し、それによって傾圧波の伝搬の向きが変動していることを示した。また、ダイナミクスを考慮できる線形逆モデルを用いた解析も行い、ARの発達に最適な条件について調べた。その結果、MJOの貢献度はリードタイムが長いほど大きくなり20日前後でピークを迎えることが分かった。全体の貢献度では他のモードの方が大きく、中緯度における振動が大きいモードの違いによってARが到達する沿岸地域が決まることも分かった。以上のように、本研究では様々な手法を用いてARの季節内スケールでのメカニズムの解明を行うことができた。
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