2023 Fiscal Year Annual Research Report
海草の形態変動のモデル化と海草藻場炭素動態モデルへの発展
Project/Area Number |
20K14835
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉開 仁哉 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 研究員 (60814994)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生態系モデリング / 海草 / バイオマス / 植生抵抗 / ブルーカーボン / マングローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、前年度までに開発した海草藻場・マングローブ域の流動ー土砂・有機物輸送モデルを用いて、植生あり・なしでの土砂・有機物輸送に関するシナリオ解析を行うことで、植生抵抗が底質土砂および土壌炭素の保持に大きな役割を果たしていることを定量的に示すことに成功した。 本研究では補助事業期間を通し、海草藻場生態系に加え、海草藻場とともにブルーカーボン生態系の主要構成要素の一つであるマングローブ林生態系まで研究対象を広げ、これら生態系によるブルーカーボンの吸収・貯蓄において重要なプロセスと考えられる藻場・森林スケールでのバイオマス動態及び植生抵抗に伴う浮遊土砂・有機物のトラッピングのモデル化を行った。 特に、光環境や栄養塩濃度、またマングローブ林の場合には土壌塩分といった環境要因に対する海草藻場・マングローブ林生態系の応答が評価可能な、ブルーカーボン生態系バイオマス動態モデルを開発することに成功した。さらに、地上部・地下部のバイオマス分配モデルに、成長量を最大化させるアルゴリズムを組み込むことで、環境要因に対する地上部・地下部バイオマス比の動態を評価可能なモデルへと発展させ、また文献から得られる変動パターンと定質的に一致する結果が得られた。また、植生抵抗に関する現地計測を行い、そこで得られたデータを元に、海草藻場・マングローブ林の双方に適用可能な新しい植生流水抵抗・乱流モデルを開発した。さらにそれを既存の海水流動モデルに組み込むことで、ブルーカーボン生態系における浮遊土砂・有機物輸送モデルへと発展させ、植生抵抗によるブルーカーボン生態系における土壌炭素保持機能を定量的に示した。これら成果は、今後ブルーカーボン生態系における土壌炭素動態モデルを開発する上で不可欠な要素であり、気候変動下におけるブルーカーボン動態の包括的な評価・将来予測へと発展させ得るものと期待される。
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[Presentation] Modeling flow and sediment dynamics in an estuarine mangrove forest and adjacent areas: the impact of mangrove forest dynamics on landscape evolution2023
Author(s)
Masaya Yoshikai, Takashi Nakamura, Ariel Blanco, Bryan Clark Hernandez, Eugene Herrera, Charissa Ferrera, Franco Almarza, William Dimalanta, Ryan Basina, Gia Albano, Rene Rollon, Rempei Suwa, Raghab Ray, Yasmin Primavera-Tirol, Maria Lourdes San Diego-McGlone, Kazuo Nadaoka
Organizer
EGU General Assembly 2023
Int'l Joint Research