2020 Fiscal Year Research-status Report
自動運転の社会的形成に関する分析とまちづくり手法の提案
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20K14846
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大野 沙知子 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任助教 (50754214)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自動運転利用プロセス / 自動運転とまちづくり / 質的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自動運転の成立要件や利用のための仕組みを明らかにし、自動運転時代のまちづくり手法を提案することが目的である。2020年度は、自動運転サービス利用者から取得したデータから、利用実態を把握したうえで、利用促進策の検討、利用プロセスの解明に取り組んだ。まず高蔵寺NT社会実証実験モニター27名が約2か月間記入した交通日誌を分析した。自己組織化マップを用いて日常の交通行動と自動運転サービス利用の類似を確認したところ、週1回以上の交通行動と類似した行動として自動運転サービスの利用が位置づけられ、徒歩や自転車や乗用車の代替移動手段として利用されたことを把握した。特に、利用促進策として導入したアドバイザー支援が寄与しており、アドバイザーが個人の特徴に合わせた利用を促すことの有用性を確認した。 次に、利用者を対象としたヒアリングデータを質的分析手法の1つであるグラウンデッド・セオリー・アプローチを適応し、自動運転の日常的な利用に至る7つのカテゴリーを抽出した。そしてカテゴリー間の関係を記述し、3つのプロセスを特定した。1つ目は≪外出頻度/内容の変更≫から≪移動に対する不安≫に進み、≪生活の中での位置づけ≫に進むプロセスであり、2つ目は≪他者送迎の意識≫から≪外出頻度/内容の変更≫に進み、≪既存サービスとの比較≫そして≪生活の中での位置づけ≫に進むプロセスである。3つ目は≪必要性/成立要件検証≫から≪周囲の利用状況の確認≫に進み利用に至るプロセスである。3つのプロセスの分岐点において、自動運転サービスの課題を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地域住民や自治体へのヒアリング調査を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、所属研究機関の研究活動指針等を踏まえ、研究計画に遅延が生じた
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に分析した地域住民の利用促進策や利用プロセスに加え、自治体、想定運用組織、事業者に対してヒアリング調査などを実施しデータを収集し、多様な主体の社会的期待を考慮した利用プロセスを作成する。そのうえで、まちづくりと社会実装の関係性を整理し、まちづくりプロセスを評価する。評価方法は、既存の手法のうち多様な主体の多様な項目を考慮することが可能な手法として便益帰着構成表やロジックモデル、インパクトマップなどから検討する。 なお、新型コロナの影響により、人々の移動の状況や移動に対する価値観が変容していることから、今の日常生活における自動運転のあり方とまちづくりの関係を問うことに加え、近未来の移動のあり方についても調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
地域住民や自治体へのヒアリング調査を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、所属研究機関の研究活動指針等を踏まえ、研究計画に遅延が生じている。2021年度は、2020年度実施予定であった調査を遂行するとともに、当初予定している自動運転とまちづくりの関連を整理、その評価を実施する予定である。
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Research Products
(5 results)