2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of an evaluation method of integrated safety technologies for protecting vulnerable road user based on actual accident data analysis
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20K14847
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
伊藤 大輔 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (90432244)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 交通事故分析 / 歩行者 / 自転車乗員 |
Outline of Annual Research Achievements |
衝突時の歩行者保護性能試験法などでは,代表的な事例を想定し,その条件下での傷害発生確率評価や傷害発生メカニズムの分析がおこなわれてきた.また,個別の事故再現での事象解明や衝突位置・速度の推定などがおこなわれてきたが,保護性能を論じるためには様々な衝突形態をその頻度等で重みづけするなどして,包括的に評価する手法が必要であると考える. 1年目は交通事故総合分析センターが保有する交通事故例調査データ(ミクロデータ)を用いて,歩行者・自転車乗員の衝突事故の特徴の明確化,特に頭部外傷に着目して分析を実施した.具体的には,歩行者,自転車乗員の頭部衝突位置,速度分布と外傷の重症度との関係を調査した. 対歩行者事故114件を分析した結果,50 km/h以上の高速度衝突において 歩行者頭部保護性能の高いウインドシールドとの衝突であっても脳傷害が発生していることを確認した.これは衝突速度がウインドシールドの保護性能の想定よりも高いことや,現在の頭部保護性能評価が並進加速度に基づく指標にて議論されており,脳傷害発生に影響の高いとされる頭部回転を考慮していないことが原因と推定される.今後,この部分に関しては衝突シミュレーションを通じて原因を解明していく.また,路面が頭部の加害部位となった事例では衝突速度の平均値が車両が加害部位となったケースよりも低かった.このような事例ではトラックやキャブオーバー車が関与しているケースが多く,前方への押し倒しが原因であったと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目に実施予定であった事故の分析は東京都にある交通事故総合分析センターにておこなう必要があったが,新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴う緊急事態宣言発令により,出張できるタイミングが激減したことが原因である.緊急事態宣言解除の合間に何度か訪問し作業を実施しているが,結果をまとめ上げるところまでは至っていない.今年度も引き続き作業できるよう先方と調整しており,必要なデータを取得する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では衝突被害軽減技術の保護効果をFE解析によって評価するが,すべての事例を詳細に再現することは時間的にも困難である.そこで,少ない解析回数で事故の因子空間(設計空間に相当)をカバーする手法を構築する.具体的には,Tengら(J. Clean. Prod. 2019)が提案した主成分分析を用いる手法を本研究に適合するように修正する.現在実施中の事故データの事故因子に対して主成分分析を適用し,事故因子の次元削減をおこなう.寄与度の高い主成分において影響が大きい因子を残すことで,事故因子全体の分散をなるべくカバーする.これにより,因子が多い状態で実験計画法を用いた場合に起こる組み合わせ数の指数関数的増加を抑制できる.次に,選択された因子のみを用いて要因配置計画をおこない,サンプリングされた条件での衝突FE解析を実施する.続いて,衝突FE解析で得られた傷害リスクやリスク低減率に対する応答曲面を構築する.この方法の妥当性は実事故データの傷害発生状況と構築された傷害リスクに関する応答曲面との比較により検証する.
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