2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the methodology of consensus building through narrative-formed communications
Project/Area Number |
20K14848
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川端 祐一郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (80814996)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 物語 / ナラティブ / ストーリー / 移入 / テキストマイニング / 人工知能 / 自然言語処理 / Transformer |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、公共政策に関する円滑な合意形成に資する知見の獲得を目的として、物語型コミュニケーションの効果の実証と、物語情報の形式的特徴の解明を試みるものである。多数の文章素材に対しテキスト解析の技術を用いた特徴評価を行い、それらを読者に提示して「物語移入」の深さを計測することで、どのような形式的特徴を持つ情報が物語型コミュニケーションに効果的であるのかを分析する。 1年目の2020年度においては、1000名の参加者を対象とする心理実験を行った。看護にまつわる物語エピソード100本の文中各部におけるサスペンス性について実験参加者の評価を得た上で、サスペンス性の推移と移入度の関係を分析し、サスペンス性の高い物語文ほど高い移入を催すことや、サスペンス性が前半で高く後半で下がる構造が有効であること等が明らかになった。 2年目2021年度は、主に統計データ解析の詳細化及び既往研究の知見との整合性の確認を進めた。また物語型情報による態度変容を分析する前提として、現代市民の価値観の分布(定住志向、政策支持)を確認するアンケート調査を行った。 3年目の2022年度には、近年、機械学習(AI)による自然言語処理の分野で広く応用されるようになったTransformerベースの事前学習済み言語モデルを用いてテキストの意味情報を抽出し、人手によるサスペンス性評価との対応関係を予測するためのファインチューニングを行った。この分析を加えて、学術論文を投稿予定である。また、本研究は公共政策に関する合意形成の円滑化に資する技術の開発が目的であるが、市民の心理側に生じる「無関心」が物語への移入を阻害することも考えられるため、市民の政治的無関心の背景構造について調査分析を行い、学術論文を出版した。
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