2020 Fiscal Year Research-status Report
高性能鉄筋コンクリート造壁の開発と損傷予測モデルの構築
Project/Area Number |
20K14870
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小原 拓 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (50845451)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 損傷制御 / 鉄筋コンクリート造壁 / アンボンドPCaPC / 変形性能 / Fiberモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
大地震後の高い継続使用性が期待されるアンボンドPCaPC造壁の損傷制御性能に着目した。一定軸力作用下のアンボンドPCaPC造壁の履歴復元力特性,損傷量を把握することを目的とし,アンボンドPCaPC造壁の4体について正負交番繰返し静的載荷実験を行った。実験変数は軸力比(0.05,0.3),壁厚(120mm,240mm)とした。 高軸力試験体を除いた3体の試験体では,基本的な性状として,部材変形角R=1%を超えると耐力上昇が頭打ちとなり,部材変形角R=3%程度までに最大耐力に到達し,その後の耐力劣化は小さくS字型にくびれたアンボンドPCaPC特有の原点指向性の高い履歴が得られた。等価粘性減衰定数や残留変形角,残留変形率は変形角が大きくなっても,非常に小さい値を示した。損傷は壁端部の圧縮領域に縦ひび割れが発生し,コンクリートの剥落が生じたことから曲げ破壊であり,壁厚を変えることで圧壊高さが異なることを示した。また,壁端部の圧縮領域の狭い範囲に損傷を集中させることで,それ以外の部分では損傷を抑制することができ,アンボンドPCaPC構造が有する損傷低減・高い自己復元性を確認できた。 高軸力試験体では,耐力が約1.7倍上昇したが,変形性能が低下し残留変形が大きくなる傾向にあった。また,軸力が大きい場合は、PC鋼材配置位置での断面欠損が影響し縦ひび割れが生じることがわかった。壁厚が大きな試験体では,壁厚を2倍した分,耐力も2倍程度の値を示し,同時に変形性能も上昇することが確認された。損傷を予測する解析モデルとしてMSモデルの適用可能性を検討した。その結果、塑性ヒンジ長さを適切に評価することで、耐力劣化点まで荷重-変形角を再現できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたアンボンドPCaPC造壁の載荷実験を行い、期待した通りの損傷制御性能を示した。また、損傷予測が可能な解析モデルの開発を行い、実験を実施した4体に対しては高い精度で実験結果を再現できた。詳細な成果は研究実績の概要を参照されたい。
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Strategy for Future Research Activity |
高性能鉄筋コンクリート造壁の開発として、引き続きアンボンドPCaPC造壁の実験および解析を進める。 【アンボンドPCaPC造壁の損傷量評価を目的とした構造実験について】壁の曲げせん断実験を行い、部材せい・補強筋比・PC鋼材量・せん断スパン比・コンクリート強度を変数としアンボンドPCaPC造壁のひび割れや圧壊領域の定量化を行う。 【簡易解析モデルを用いた荷重-変形角関係評価モデルの開発】設計ツールとして扱う材端ばねモデルを開発する。これまで柱梁に対する評価式は幾つか提案されてきているが壁への適用可能性は不明である。そこでアンボンドPCaPC造壁への適用可能性を検討する。
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