2022 Fiscal Year Research-status Report
非破壊劣化診断を活用した伝統木造建築の保存的補強法の確立
Project/Area Number |
20K14872
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
大塚 亜希子 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (00825101)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 非破壊診断 / 劣化調査 / 超音波試験 / 穿孔抵抗 / 文化財建築 / 木造 / 補修 / エポキシ樹脂 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はポータプルな超音波探査機器を活用した強度推定と樹脂充填による劣化材補強手法のさらなる高度化に向けて検討を進めている。実建築の部材に対する提案手法の強度推定精度ならびに樹脂補強効果の検証により,劣化木材の効果的な補修法に関する技術資料を整備し文化財の永続的保存の促進に資すること目的としている。 研究代表者は既往の研究において、欠陥探査と樹脂充填による補強方法については超音波試験による充填確認の有効性と,充填 による質磁上昇率と超音波伝播速度の上昇率との一定の相関を明らかにしている。一方,パテなどで穴やひびを埋めるために使用していた事例はあるが,材料強度の向上を目的としているものは少なく,実建築において充坦後の強度向上に関する定益的な検証例はない。そこで本研究では,ガンタイプのスタティックミキサーを用いて樹脂を効果的に深部まで注入させることで地震時の荷頂保持が可能になるレベルまでの明らかな部材強度向上を目指すとともに,未補強・樹脂注入補強後木材の超音波伝播速度の相関に基づく定批的補強効果の推定手法の検討を行っている。 2021年度までの研究では,劣化の程度,樹種の違いによって適したポータプル劣化診断機器に違いがあることを発見した。また,診断機器の使い分けにより,より正確な劣化診断が可能であることを明らかにした。2022年度は,樹種の違いで明らかになった傾向の違いに対して,適正な計測方法と分析方法の提案を行った。 補強方法については,2021年度までは既往研究にて過去の文化財の修復に使われた樹脂の種類と使用方法を分類し,選択したエポキシ系樹脂,ポリウレタン系による補修効果の検討を行い,力学的効果の検証を行った。基礎検討の結果を受けて,2022年度はセルロース繊維を混入したエポキシ樹脂を木材に注入する補修方法の検討を行い,健全材相当までの耐力回復が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度については、当初の計画に沿って順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は蓄積した調査結果のデータより,データベースの構築を行い,非・微破壊による内部劣化探査および建物を壊さない補強方法の確立に向けた定量的な評価軸の提案を行う。
|
Research Products
(6 results)