2020 Fiscal Year Research-status Report
針葉樹を基材とする型枠用合板の品質向上とこれを用いた型枠の施工方法に関する研究
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20K14875
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
荒巻 卓見 日本大学, 理工学部, 助手 (70821982)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コンクリート型枠用合板 / 針葉樹合板 / ラワン合板 / 品質 / 吸水特性 / 曲げ剛性 / 木材保護塗料 |
Outline of Annual Research Achievements |
針葉樹合板の吸水による品質低下の抑制方法を確立するとともに、合板の品質に応じた型枠の適切な施工方法を提示することを最終的な目標とし、2020年度は以下の2項目について調査・検討を行った。 (1)型枠用合板の品質に関する調査 表面に塗装またはオーバーレイが施された型枠用合板を対象とし、日本国内で使用されている製造地や単板の樹種などが異なる合板(針葉樹合板3製品、ラワン合板5製品)の各種品質を調査した。本調査では、型枠用合板に要求される品質のうち、主として単板同士の接着の程度および曲げ剛性に関する試験を行った。その結果、単板同士の接着の程度については、直射日光や降雨の影響を繰り返し受けることで接着層が部分的に剥離する可能性があることが示唆された。また、曲げ剛性については、幅方向(表板の繊維方向に対して直角方向)の曲げヤング係数が3.0GPa程度のものが標準的であることが確認された。 (2)型枠用合板の吸水特性とその抑制方法に関する検討 型枠用合板の品質低下を生じさせる要因のうち、屋外環境下での降雨の影響を対象とし、吸水による強度・剛性の低下および乾湿の繰返しによる変形(反り・ねじれ)を抑制する方法の有用性を明らかにすることを目的とした。その基礎的段階として、型枠用合板の吸水特性を把握するとともに、撥水・防水効果を有する木材保護塗料による合板の吸水・吸湿性の改善効果および強度性状への影響を検討した。その結果、定尺寸法(幅600×長さ1800mm、幅900×長さ1800mm)の型枠用合板は、木口面よりも裏面からの吸水量が3倍以上大きくなることが確認された。また、撥水・防水効果を有する木材保護塗料を型枠用合板に塗布することで、無塗布の合板に対して吸水量を60~70%程度に抑制できることに加え、合板の強度性状を向上できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、研究実績の概要に記載したとおり、当初の研究計画で予定していた2項目について調査・検討を実施し、型枠用合板の各種品質の把握に加え、型枠用合板の吸水特性とその抑制方法に関する基礎的な知見を得ることができた。一方で、撥水・防水効果を有する木材保護塗料による針葉樹合板の品質低下の抑制方法に関する検討において、乾湿の繰返しが合板の強度・剛性および変形(反り・ねじれ)に及ぼす影響とその抑制効果については、屋外環境下での吸水と乾燥の繰返しを模擬した室内実験を実施したが、実験設備の制約で複数回に分けて試験を実施したことや合板自体の品質のばらつきなどが影響したことにより、実験結果に予想以上のばらつきが生じ、明確な傾向を捉えることができなかった。この点については、実験方法の見直しおよびサンプル数の追加を行い、次年度以降も引き続き検討していく予定である。 以上のことから、実験の一部を見直し、再検討する必要があるものの、今年度の主要な調査・検討項目については、研究計画通りに進展していることから「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目標の1つである針葉樹合板の乾湿の繰返しによる強度・剛性の低下および変形(反り・ねじれ)の抑制方法については、今年度の実験結果を踏まえて、実際のRC工事における合板の使用方法や保管方法などを想定し、施工現場の実状に即した屋外暴露試験を行うことで、撥水・防水効果を有する木材保護塗料による合板の品質低下の抑制効果を検討する。屋外暴露試験では、木材保護塗料の成分・種類や塗布量などを変化要因とした実験を行う予定であり、この実験結果に基づき、経済性を加味した木材保護塗料による品質低下の抑制方法の確立を目指す。また、仮設材料である型枠用合板は、経済性の観点から転用して繰返し使用することが一般的であるため、転用が針葉樹合板の品質に及ぼす影響および転用した針葉樹合板がコンクリート表面の品質や仕上がり状態に及ぼす影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2020年度に計画していた実験を行うにあたり、実験補助者へ謝金を支払う予定であったが、新型感染症の影響を考慮して実験補助者への依頼を取りやめたため、未使用額が生じた。また、2020年度に人件費・謝金として計上していた予算の一部は物品費へ流用した。このため、当該未使用額は、2021年度に計画している実験で使用する消耗品の経費に充てることにしたい。
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Research Products
(1 results)