2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on defect detection method by acoustic irradiation induced vibration from UAV equipped with sound source
Project/Area Number |
20K14877
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
上地 樹 桐蔭横浜大学, 工学研究科, 研究員 (30766861)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非破壊検査 / UAV / 音響照射加振 / 欠陥探査 / 非接触音響探査法 / 外壁タイル / 実構造物 |
Outline of Annual Research Achievements |
R5(2023)年度はR4(2022)年度と同様に、民間の大規模修繕コンサルタント会社の協力のもと、予定していた静岡県熱海市にある8階建のリゾートマンション、兵庫県立大学姫路工学キャンパス内にある建物および同県内にある赤穂化成ハーモニーホールの3つの実構造物を対象に、我々が提案している音源搭載型UAVを用いた非接触音響探査法(NCAI法)の実験を実施した。これらの建物には外壁タイルが施工されており、内部の欠陥検出を目的として計測が行われた。 熱海実験では、NCAI法により複数の場所を計測したが、明確な欠陥の反応が検出されなかった。しかし、後にUAVによる赤外線検査の結果と比較したが、こちらの方法においても欠陥が検出されておらず、NCAI法と同様の結果であることを確認した。 兵庫県立大学の建物では東向き5階の外壁部、北向き3階のベランダ部、および別棟の東向き3階上部などを対象に計測を行った。5階の外壁部では音源を搭載したUAVを計測対象正面まで飛行させ、対象から約25.5 m離れた地上からスキャニングレーザドップラ振動計(SLDV)により計測を実施した。3階のベランダ部および3階上部の実験では、周囲の風が強くUAVの飛行が困難であったため、高所作業車の作業台部分に音源を取り付けて近接させることで、疑似的なUAVを用いたNCAI法を行った。5階の外壁部および3階ベランダ部は事前の打診と同様の場所で欠陥の反応が検出された。また3階上部でも赤外線検査と同様の検査結果が得られた。なお北向き3階のベランダ部では温度変化が少ないため、赤外線検査では検出できなかった。 赤穂化成ハーモニーホールの実験では、NCAI法、赤外線検査および打診のそれぞれの結果で同様の結果が得られており、音源搭載型UAVを用いた非接触音響探査法により欠陥検出が十分可能であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5(2023)年度では、新型コロナウイルスによる制限が緩和されたことで、予定していた静岡県熱海市にある、外壁タイルが施工されている8階建のリゾートマンションでの検証実験を実施した。また、兵庫県立大学の建物および赤穂化成ハーモニーホールにおいても音源搭載型UAVを用いた非接触音響探査法の検証実験を行い、赤外線検査および打診と同様の結果が得られたことを確認した。 R4(2022)年度に発生したUAVの機体後方への音響照射による周囲への環境騒音に関する防音対策については、静岡県熱海市にある8階建のリゾートマンションでは対面が海であったため、全く問題にはならなかった。また、兵庫県立大学では人の少ない期間に実験したこと、および飛行高度が高かったことにより、周囲への影響が抑えられたと思われる。さらに、赤穂化成ハーモニーホールにおいては、UAVの飛行高度が高いだけでなく、周囲に高い建物が少なかったことも、検査音による影響が小さかったことに関係していたと推測される。なお、実験に協力して頂いた方々による周囲への事前周知も、騒音の影響を抑えることに貢献していたと考えられる。 計測距離に関しては、今回の対象においてもR4(2022)年度と同様に25 m程度でも計測可能であること確認した。 兵庫県内の実験では、UAVの係留装置を借りて実験を行った。これは、2021年9月24日に航空法の一部改正されたことにより、係留装置および立入規制などの対策をすることでUAVの飛行が緩和されたためであり、今後の事を考えると必要な処置であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
R6(2024)年度は、R5(2023)年度に実施した兵庫県内における実験結果について、2024年9月に実施予定である土木学会令和6年度全国大会第79回年次学術講演会等での学会発表を予定している。 今後については、今回の兵庫実験において欠陥部の共振周波数が供試体により想定していた2 kHz~3 kHzより低く、1 kHz以下に集中していた。 そのため、可能であれば実際の建物を対象とした実験を重ねることにより、さらなる実験データの蓄積を行って、加振用波形の検討を行う必要があると考えられる。 UAVの飛行に関しては、兵庫実験に使用した係留飛行および立入規制を行うことでUAV飛行の規制が緩和されるため、音源搭載型UAVを用いた非接触音響探査法の検証実験の実施が容易になっている。そのため、今後は機会があれば積極的に実験を行っていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
R5(2023)年度はR4(2022)年度に予定したとおりに、静岡県熱海市にある8階建のリゾートマンションを対象に音源搭載型UAVを用いた非接触音響探査法(NCAI法)の実験を実施した。しかしながら、この時の実験結果は計測した箇所が健全であるという結果であり、欠陥部の検出性能を検証するには不十分であったため、学会発表等には適さないと判断した。その後に行った兵庫県での実験では、赤外線検査および打診と同様に欠陥部を検出することが出来たが、実験の日程が年末であったことからR5(2023)年度中に学会発表を行うことが難しかった。これらの事から、使用予定であった、旅費を伴う学会発表等における費用支出額を次年度へ繰り越すという形となった。 R6(2024)年度は、土木学会等において兵庫実験での結果について発表予定である。また、今後はUAVを使用できるような検査対象物件が見つかり次第、追加の検証実験を実施していきたいと考えている。
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