2021 Fiscal Year Research-status Report
換気用全熱交換器の最適設計に向けた顕熱・潜熱・臭気物質同時移動モデルの開発
Project/Area Number |
20K14886
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
鄭 朱娟 福岡女子大学, 国際文理学部, 助教 (70793545)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全熱交換器 / 顕熱・潜熱・臭気物質移動モデル / 有効全熱交換面積 |
Outline of Annual Research Achievements |
排気空気中の全熱(顕熱と潜熱)を全熱交換エレメント内で交換・回収することで給気中の温湿度調整を行う全熱交換型換気システムの更なる性能向上と多様な室内空間への普及を図るためには,全熱交換エレメント内の顕熱・潜熱交換のメカニズムに加えて臭気物質を含む汚染物質移動メカニズムを十分に理解した上で,最適設計を行うための数値解析手法を確立することが非常に重要な課題である.本研究では,省エネルギー効果が期待される小型の全熱交換型換気システムに採用される全熱交換エレメントに着目し,全熱交換効率の更なる性能向上のための数値解析モデルの開発に取り組んでいる.2021年度の研究期間(2021年4月1日~2021年8月31日,産前産後の休暇・育児休業の取得に伴う研究中断期間:2021年9月1日~2022年3月31日)では,特に全熱交換型換気システムの性能改善に寄与する4要素,空気流量,材料の透湿性能,流路の幾何形状,有効全熱交換面積(断熱・断湿面パッチ)に着目し,物性値を段階的に変化させた系統的パラメトリック解析を実施した.具体的には,熱交換面の長さ,位置,断熱・断湿面パッチの数の3つの要因を考慮し,熱交換面と断熱面の大きさが熱伝達係数に及ぼす影響を評価した.CFD解析に基き,対流熱伝達率を把握するための簡単な数値計算モデルを開発し,解析の結果を基に熱交換面の長さ,位置,断熱・断湿面パッチの数の観点から,様々な条件のためのパッチ効果を考察した.また,小型熱交換エレメントの接合部の設計条件が交換効率,対流熱伝達率,フィン効率に与える影響を把握している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産前産後の休暇及び育児休業による研究中断期間(2021年9月1日~2022年3月31日)が発生したためやや遅れているが,目標に向いておおむね順調に進展している.現在,次年度の研究遂行のために実機として作成可能な小型の熱交換エレメントの幾何形状を基に,CFD解析を行う流路形状と流路構成材料内部までを高解像度で再現し,数値解析モデルの境界条件・初期条件の準備に取り組んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究再開後の具体的な研究実施計画を以下のように示す. (1)数値解析用小型の全熱交換エレメントモデルの作成と解析条件設定 :構築した数値解析モデルの境界条件・初期条件,定数同定について,予測精度検証を実施する.実機として作成可能な小型の熱交換エレメントの幾何形状を基に,CFD解析を行う流路形状と流路構成材料内部までを高解像度で再現する数値解析モデルを作成する. (2)CFD解析と顕熱・潜熱・臭気物質移動モデルの連成解析手法の確立 :CFD解析と材料内の熱・水分・臭気物質の3成分同時移動モデルを気相-固相界面でのフラックス保存式を共有させた連成解析モデルとして整備し,小型の全熱交換エレメントを対象とした臭気物質移行率測定で作成した全熱交換エレメントモデルに統合する.小型の全熱交換エレメントのプロトタイプモデルを対象とした交換効率測定で実施した基礎実験結果と比較することで予測精度を検証し,必要に応じて数値解析モデルの改良を行う.
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Causes of Carryover |
2021年9月1日から2022年3月31日まで産前産後の休暇・育児休業の取得したため,産前産後の休暇,育児休業の取得又は海外における研究滞在等に伴う科学研究費助成事業の補助事業期間の延長を申請し,2021年8月3日付けで延長を承認された.研究中断期間は2021年9月1日から2022年3月31日まで,研究再開は2022年4月1日,延長された研究終了予定は2023年度である. 次年度使用額(678,268円)に変更後の次年度交付額(200,000円)を合わせると当初計画した次年度計画予算(900,000円)と大きな差異がないため,研究次年度の使用計画どおり使用する.
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