2021 Fiscal Year Research-status Report

自然換気時における低温・局所気流の快適性評価と気流活用空調への応用

Research Project

Project/Area Number	20K14888
Research Institution	Tokyo Polytechnic University
Principal Investigator	山本佳嗣東京工芸大学, 工学部, 准教授 (50823738)
Project Period (FY)	2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords	自然換気 / 局所非等温気流 / 感染症対策 / 局所温冷感 / サーマルマネキン
Outline of Annual Research Achievements	当該年度は、人工気候室とサーマルマネキンを用いて、自然換気時を模擬した局所非等温気流をサーマルマネキンに曝露させ、部位別の冷却熱量を測定した。それらのデータを分析し、室内気流速度と気流温度・室内作用温度から部位別の人体冷却熱量を算出する予測式を求めた。更に予測式に関する精度検証を行った。これらの実験結果について査読論文として取りまとめ、投稿した。また、人工気候室において被験者実験を行い、22℃と29℃の室温における様々な局所低温気流の快適性について確認した。室内の気流性状についてはCFDを用いて再現し、実験条件を明確にしている。実験の結果、22℃においては、サーマルマネキンで算出した冷却熱量以上に寒い側の申告となることが判明し、コールドドラフトによる不快感が発生することを確認した。また、室温29℃においては局所非等温気流の効果により、快適側の申告となっていた。次年度は、室温23℃、24℃についても被験者実験を行い、不快から快適に変化する閾値について明らかにする予定である。当該年度は、更に、研究における3つ目の課題である局所気流活用空調への応用について実験を行った。局所気流活用空調の評価軸として、新型コロナウイルス感染拡大の現状を考慮し、顔付近への局所気流による感染対策と快適性の両立について検討を行った。具体的には人工気候室内にデスクを設置し、顔付近に局所気流を暴露した場合のエアロゾル低減効果を確認した。次年度は更に省エネの観点も加えた検討を行い、局所気流活用空調の設計法について知見を取りまとめる予定である。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 本研究では自然換気・気流活用空調における低温・局所気流について検討し、適切な気流条件を示すことを目的としている。目的達成のため１）人工気候室内での人体への冷却量を同等とした低温・局所気流パターンの再現、２）被験者実験による低温・局所気流時の快適性評価、３）気流活用空調の設計手法への応用、の3つの課題を3年間で取り組む計画である。今年度は２）について室温22℃と29℃において検討を行い、局所低温気流と快適性の関係について明らかにした。また、３）の気流活用空調の設計手法への応用として、気流による快適性に加え、気流による感染症対策の効果も含めた設計手法について検討した。今年度は、当初予定していた人工気候室での被験者実験等を行うことが出来た。よって、研究計画としてはおおむね順調に進展していると考える。
Strategy for Future Research Activity	次年度は、以下の課題２）、３）について取り組む予定である。課題２）被験者実験による低温・局所気流時の快適性評価 2022年度は、室温23℃、24℃の場合の快適性について被験者実験を行い、不快から快適へと変化する閾値について明らかにする。課題３）気流活用空調の設計手法への応用被験者実験等で得られた実験結果を元に、快適性、感染症対策、省エネ性の観点から、気流活用空調の設計手法について取りまとめる。
Causes of Carryover	新型コロナ感染拡大により、当初予定していた学会参加等を見合わせたため、交通費等が執行されなかった。次年度はオンラインでの学会参加も含め、研究成果の発表を積極的に行うことで予算を執行する予定である。