2020 Fiscal Year Research-status Report
Minimization of Atrium Fire by Optimized Eaves and Wooden Louvers
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20K14890
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
高瀬 椋 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (40807070)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 木質仕上げ材 / 火災安全 / アトリウム / 庇 / 火炎伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
難燃処理していない木製ルーバーは火災時の燃焼発熱を増加させる一方で、上階の廊下や居室に対しては火炎からの輻射熱を遮る効果も有すると考えられる。 当年度は、ルーバーの基礎的な燃焼性を明らかにするために、ルーバー羽板の間の溝部分を部分再現して、羽板の間隔および角度を変化させた実験を行い、ルーバーが途中で燃え止まる条件を明らかにした。加えて羽板の角度は、燃焼性に対して顕著に影響しないことも分かった。 さらに、ルーバーが火炎からの輻射熱を遮る効果を明らかにするために、ルーバーの形態係数を0, 0.52, 0.62, 0.65と4段階に変化させた条件で加熱実験を行った。その結果、輻射熱はルーバーの形態係数が大きいほど抑制され、形態係数を0.65としたルーバーの場合、熱源との間に何もないときの60%程度まで輻射熱を低減できることが分かった。 当初掲げたもう1つのテーマである庇形状に関しては、実験回数を確保するには実験スケールを小さくする必要があり、妥当性を保って小規模実験を行うための方法を検討中である。具体には、小規模実験として庇付近を実大スケールのまま部分再現する方法と、火源から庇まで、本研究で想定する範囲全体を縮小した模型を製作して評価するという2種類の実験方法が想定された。文献調査により、庇付近の気流の性質を維持して実験を行うには後者の方法が望ましいことが分かっているが、この方法では輝炎直傍の壁面に対する輻射熱が小さくなると想定される。このような実験方法であっても、本研究で最終的な目標とする側方火炎伝播の評価に支障が無いか、現在検証を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験用バーナーの燃料配管や排煙設備の改修に時間を要したため、実験の実施順を変更した。プロジェクト全体の掲げる①木製ルーバーの平面形状と燃え拡がりの関係の整理、②不燃の庇によって燃焼を強制的に局所化する設計方法の検討、③ルーバー+庇の構成で熱流束の実測、の3つの小課題のうち、現時点で①および③の予備実験が終了した状態といえる。 当年度の成果は、木製ルーバーの燃焼性を確認するとともに防火上の利点も明らかにするものであった。これらは本プロジェクトの意義を確認するものであったことから、全体としての進捗は概ね順調であると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
相似則を維持するスケールの模型実験を行い、側方火炎伝播を生じにくい庇の形状を実験的に明らかにする。具体には、下面に勾配をつける、下面を山形にするといった改良を加えた庇に火炎を衝突させる実験を行い、庇下方の壁面温度分布や着火判定用木材の状況、庇上方の壁面に対する熱流束を計測する。 さらに、最適化した庇をルーバーと組み合わせ、側方火炎伝播の確認実験を行うとともに、庇上方の熱流束を実測してルーバーの遮蔽率の影響を評価する。
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Causes of Carryover |
令和3年度に実施する実験の費用を確保するために、交付決定額に鑑みて当年度の実験計画を練り直し、計画的に繰り越したものである。
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