2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Home-Related Subjective Well-Being Scale Based on the Well-Being Concept
Project/Area Number |
20K14894
|
Research Institution | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター) |
Principal Investigator |
有馬 雄祐 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 助教 (80830041)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 家 / 主観的幸福 / ウェルビーイング / 健康 / 住居満足度 / 住環境評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、家が関連する主観的幸福尺度(「家のSWB」尺度)の開発である。主観的幸福(SWB)は、人々が自身の生活について行う評価や経験に対する感情、ないし良好な精神状態を意味する概念であり、測定された値は一般に幸福度とも呼ばれる。本研究では「家のSWB」を「居住者が家との関わりを通じて得られる主観的幸福の総称」と定義して、測定尺度の開発を進めている。本年度は、尺度の開発に必要な基礎的検討のためのアンケート調査を実施し、①尺度の因子構造、②尺度の質問形式を検討し、③家のSWBと人生全般のSWBとの関連性の分析などを実施した。 本研究は経済協力開発機構による主観的幸福(SWB)の定義を基に、「家の満足」「家での感情」「家がもたらすエウダイモニア」の3領域を想定して家のSWB尺度を開発している。「家の満足」は「自身の家に対する認知的な満足」、「家での感情」は「家に居る時間で経験される感情」、「家がもたらすエウダイモニア」は「家によって促進されるエウダイモニア的なSWB(生きがいや自尊心など)」を意味する。建築関連の文献調査では、家のSWBには「美の経験」「居場所」など、人生全般のSWBでは扱われない家に特有なSWBの要素がある事が確認された。今年度のアンケート調査の結果から、これら家に特有なSWBの要素の多くは「家がもたらすエウダイモニア」の領域として扱える事を確認した(①)。また、「家での感情」尺度は、感情を経験する「頻度形式」で測定するより、家での感情の状態を「当てはまり形式」で測定する方が住居の物理的側面等との関連性が強く、より適切であるなど尺度の質問形式を検討した(②)。また、家のSWBは各領域が人生のSWBに影響があり、家とSWBの関係性の分析では本研究が想定するような多次元的な構造の家のSWBを考慮する必要がある事を確認した(③)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の課題は、家が関連する主観的幸福尺度(家のSWB尺度)の開発に向けた、①最終的な項目の選定、及び②尺度の信頼性・妥当性の検証であった。本年度(2021年度)に実施した調査の分析から、尺度で想定される因子、適切な質問形式についてなどの基礎的な検討は終えているため、次年度には最終的な尺度の作成に向けた調査を実施する予定である。 当初の計画で本年度に予定していた最終的な尺度開発のためのアンケート調査は実施できておらず、この点から進捗状況の区分としては「やや遅れている状況」にある。しかし、尺度開発に必要な基礎的な検討、及び関連要素の分析は順調に進んでおり、研究計画全体としては特に問題のない進捗状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は当初の計画通り、文献調査と予備的な調査から得た知見を基に、①家が関連する主観的幸福尺度(家のSWB尺度)の作成、及び②家の主観的幸福の実態把握、及び③家の主観的幸福の決定要因や人生全般のウェルビーイングとの関係性の解明に取り組む。 次年度では、家のSWB尺度を開発し、信頼性・妥当性の検証のためのアンケート調査を実施する。また、作成した家のSWB尺度を使ったアンケート調査を実施し、居住者の属性、住居の特性、及び住まい方等の要因から家のSWBを分析し、家のSWBの決定要因を明らかにする。加えて、既存のウェルビーイング関連尺度を併用した調査を行い、家のSWBが人生全般のウェルビーイングに与える影響も明らかにする。
|
Causes of Carryover |
令和3年度に実施予定であったアンケート調査内容の一部を、令和4年度に実施予定のアンケート調査に入れるよう変更したため、アンケート調査費用分で差額が生じた。差額分のアンケート調査は翌年度に実施予定である。また、研究成果を発表するための国際学会への参加を見送ったため、旅費分で差額が生じた。
|
Research Products
(5 results)