2022 Fiscal Year Research-status Report
祈念的公園における順応的ガバナンス構築に向けた市民等の認識に着目した評価指標確立
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20K14895
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
西坂 涼 琉球大学, 国際地域創造学部, 講師 (50868198)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 祈念公園 / 公園評価指標 / 市民意識調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害からの復興等を祈念する「祈念的公園」を、市民や遺族、来訪者等の認識により祈念性を帯びるものと捉える。災害からの年月の経過の中でも祈念性を長期的に維持し、地域における価値を高めるために、市民等の主体からの関わりを含めた管理手法を探り、祈念的公園の整備・利用実態や、関係主体とその認識を明らかにして、祈念性を踏まえた公園管理指標を検討する。 令和3年度は国の行政資料から公園評価の概要と実態を調査し、論文を発表した。令和4年度は地方自治体レベルでの祈念的公園の評価に関する資料を分析対象に、公園評価の項目を分析して論文を執筆し、学術誌に掲載された。併せて、地方自治体が祈念的公園の評価においてどのように祈念性に関連する内容を評価しているかに着目して、地方自治体による評価資料を分析し、国際会議に投稿して受理された。 また、整備から長期間を経た祈念的公園である沖縄県営平和祈念公園について公文書を収集し、整備経緯や設計意図、平面図を分析して、公園整備の経緯や整備における祈念性の扱いを考察してとりまとめ、論文を執筆し、学術雑誌に投稿中である。 さらに、東北地方の祈念的公園である東日本大震災の復興祈念公園について、過年度にアンケートを実施し、公園への市民の意識を調査したデータを取得したが、これについて公園が所在する自治体の市民の意識を分析し、復興祈念公園の役割の重要度評価や回答者の公園管理活用意向の関係等に着目して論文を執筆中である。 令和4年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた。研究代表者が感染の激しい地方に着任したため、全国の祈念的公園の現地調査や、関係者インタビューなど、県をまたいだ出張を伴う調査は、次年度に実施を見送った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行が長引き、令和3年度に引き続き令和4年度においても研究への影響が発生した。具体的には、研究対象である祈念的公園を活用した式典やツーリズムが規模縮小され、活用状況や市民の意識を調査するにあたり感染症の要素が大きく影響してしまうことが予想されるため、市民意識の調査の実施を見送る判断とした。また、研究代表者が関東地方の研究機関を離れ、沖縄地方の研究機関に着任したことで、祈念的公園を多数有する東日本大震災の被災地へのアクセスが困難になった。さらに、着任地は、日本国内でも有数の新型コロナ流行地となっており、度重なる濃厚接触者への指定や感染により県をまたいだ出張を中止、自粛せざるを得ない状況となった。そのため、出張を伴う全国の祈念的公園への現地調査や式典状況調査、関係者へのインタビュー等を実施することが困難となった。以上より市民の意識の調査や祈念的公園の現地調査を次年度に見送ることとなり、調査、分析、論文執筆の全般にわたり、研究の進捗状況がやや遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度には全国の祈念的公園への現地調査や、市民や関係者へのインタビューなど、県をまたいだ出張を伴う調査について、新型コロナウイルス感染症が流行する地方に着任し、着任先の大学からも感染リスクの高まる行動を控えるように通知があったこと等を踏まえて、自粛した。これらの調査は令和5年度に延期する。新型コロナウイルス感染症が研究対象である祈念公園を活用した活動に与えた影響は非常に大きい。まずは文献調査及びヒアリングで新型コロナが研究対象に与えた影響を検討し、必要に応じて調査対象の設定等の研究計画を再構成する。社会情勢を鑑み、安全面および研究協力者への心理的負担に配慮するよう留意する。インタビュー、ヒアリング調査では事前の簡易アンケートや電話、オンラインツール等を併用して、極力対面時間を減少するように工夫する。併せて、文献やオンラインを活用した調査手法を引き続き研究の全体に取り入れて、研究課題を遂行したい。
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Causes of Carryover |
研究代表者が令和4年度に新型コロナウイルス感染症の流行が激しい地方に着任し、度々濃厚接触者に指定され、出張を伴う全国への現地調査を中止、延期する等の影響を受けた。また研究対象である祈念公園の活用も新型コロナにより大きな影響を受けた。全国の復興祈念公園への出張を伴う現地調査や、インタビュー調査等を実施できなかったことに伴い、現地調査の出張費等が未使用となり、次年度使用額が生じた。また現地調査やインタビュー調査のデータを取得できなかったことから、論文執筆がやや遅れ、執筆及び投稿に係る費用が未使用となった。次年度は、未使用額を現地調査の費用及び論文執筆に係る費用に充て、研究を遂行する。
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