2022 Fiscal Year Research-status Report
個人/集団による自発的空間形成のメカニズムから導く居住デザイン方法の探求
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20K14904
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
太田 裕通 武蔵野大学, 工学部, 講師 (50827904)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 居住のデザイン / アーバニスト / 描画対話法 / 自地域 / 自律性 / コモンズ / 空間的実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、研究環境・体制の変化に伴い、国内における人間ー環境系における人々の空間的実践に関する研究を進めた。1つは、再開発が進む中でも木造密集地の残る中央区月島を対象に路地環境調査と居住者8名との描画対話を実施し、居住者が抱く自地域(homesphere)とその中における価値づけを明らかにした。人々の振る舞いや認識、価値領域を理解し共有することで、物理的な環境が失われてもなお風景として月島を継承することへの足掛かりとなろう。2つ目は、都市空間におけるスケートボードスポットの変遷及びそのスケーターコミュニティの自律的秩序を明らかにしたものである。スケーターは与えられた環境を計画者の想定通りに利用するのではなく、所有による排他性とは異なる次元で、主体的で独創的な環境の再解釈により、「都市空間に自らの空間を生み出していく(I・ボーデン、2006)」のであり、東京都心・東部エリアを対象に、スケーターへの半構造インタビューと実地調査を通して、生み出されては失われたスポット空間の変遷を把握した。 来年度は、高密度集住地における屋外共有空間の共創の仕組み、コモンズの仕組みを明らかにすると共に、デザイン方法へとアプローチする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍における大学異動と研究環境の大幅な変化に伴い、国内における新しい研究調査地を対象として、個人及び集団による自律的空間形成とその仕組みに関する調査を進めている。しかし実態把握からデザイン方法に至るまでの知見は得られておらず、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
居住者が価値づけていることを高めるように建築・都市デザインを導く居住のデザイン方法の探求、実地における調査と介入実践を通して人間環境系の秩序を探求する。急傾斜高密集落である漁師町を対象に加え、屋外共有空間の共創の仕組み、コモンズの仕組みを明らかにすると共に、実態把握からデザインを導くアプローチについて、アクション・リサーチを予定している。
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Causes of Carryover |
海外渡航が行えず、旅費として計上していた使用額が次年度に持ち越された。フィールド調査における旅費、アクションリサーチに伴う消耗品や研究補助謝金、研究成果発表等に使用予定である。
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Research Products
(5 results)