2023 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュにおける文化的背景を考慮したサイクロンシェルターのあり方の探求
Project/Area Number |
20K14905
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
宮地 茉莉 関西大学, 環境都市工学部, 助教 (80868597)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バングラデシュ / サイクロン / 住宅政策 / インフォーマル居住地 / サイクロンシェルター / 住宅型シェルター / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はサイクロン常襲地であるバングラデシュにおいて、避難所であるサイクロンシェルターの平時及び避難時の利用実態を明らかにし、維持管理及び非何時の利用の課題をまとめ、発展途上国の経済問題やジェンダーなど、文化背景を考慮したサイクロンシェルターのあり方を提示することを目的としている。2023年度は、2022年度に引き続きサイクロンシェルターだけでなく政府が行っている住宅政策に着目し、国が災害脆弱地にどのような住宅供給を行っているのか、主に文化的背景と生活・生業に即した事業となっているのかを明らかにすることで、今後の災害脆弱地における建築事業の一助となることを目指した。 具体的に、2023年度はバングラデシュの現地調査を実施した。1971年独立以降に計画・建設された政府主導の住宅事業の経緯を把握すべく、沿岸部の災害脆弱地であり貧困層が他地域と比較して多い南西部において、行政担当者へのインタビューと外観調査、実測調査、居住者へのヒアリングを実施した。結果として、1971年から2000年までは長屋形式の木造にトタン壁の簡易住居が建設されていたが、近年は立地によっては戸建て住居を採用し、構造も木造トタン壁から鉄筋コンクリート造に変化し強度・耐久性に対する改良が見受けられた。一方で敷地選定としては災害脆弱性が考慮されず、洪水被害の危険のある川沿いに建設されていた。この課題に対し、2020年から実施している国家事業では、災害被害の大きい地域は敷地から除外することが方針として定められていることが行政ヒアリングから明らかになった。 本調査結果は、日本建築学会の査読論文に投稿・掲載された。
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