2020 Fiscal Year Research-status Report
北海道胆振東部地震におけるトレーラーハウスを用いた仮設住宅に関する研究
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20K14910
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
土屋 真 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (40552287)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トレーラーハウス / 移動空間 / 災害支援 / 北海道胆振東部地震 / 応急仮設住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,北海道胆振東部地震で配備されたトレーラーハウスの応急仮設住宅としての利用の実態を,使用中,使用後に分けて調査することにより,トレーラーハウスの持つ設置性の高さ,可動性が災害時にどのように機能するかを明らかにすることを目的としている. 2020年度は,コロナ禍による緊急事態宣言の合間をぬって北海道勇払郡安平町および厚真町へ調査を行うことができた.調査内容は,安平町,厚真の行政担当者へのヒアリングおよびトレーラーハウスが設置された場所への現地調査を行った.行政担当者へのヒアリングは被害状況,設置経緯,設置にかかった日数,利用者の職業属性,プレファブ型仮設住宅の配備状況,設置にかかった日数などである.また現地調査においては,トレーラーハウス配備の具体的状況を調査するために,設置場所,上水,排水,ガス,電気供給などのインフラとの接続状況は,トレーラーハウスと地面との接続方法などの調査を行った.また北海道紋別郡遠軽町にある,応急仮設住宅として利用されたトレーラーハウスのインフラ工事を行った企業への聞き取り調査を行った.その結果,トレーラーハウス設置業者とインフラ工事をになう工事業者の連携がスムーズに行われていなかった実態が明らかとなった. 以上の調査の結果トレーラーハウスを利用した応急仮設住宅は利用者の敷地内に個別分散的に配備されていることが明らかとなった.応急仮設住宅がこのような配置方法がされた事例は少ない.また利用者の職業属性は農家が多く,家畜や農地の管理などで家を離れることができない人々が利用したことが明らかとなった.こうした被災者のニーズを満たした一方で,インフラ工事に課題があることも明らかとなった. 上記調査結果は,速報として2020年11月に行われたレジリエンと建築シンポジウムにおいてオンラインでの発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度調査はコロナ禍による緊急事態宣言の合間をぬい,厚真町,安平町へのトレーラーハウスの設置状況の調査を行うという最大の目的を達成することができた.調査の過程で,トレーラーハウスのほかに,コンテナ型の移動式空間も利用されていることがわかった.一次調査においては,これらも含めて調査を行うことができたのは,トレーラーハウスという視点を広げ移動空間が災害時にどのように寄与するかに研究を広げる上で大きな収穫となった. 行政へのヒアリングを通じて隣町の鵡川町でもコンテナ型の移動空間の利用も確認された.それらの具体的調査や,コンテナ型移動空間設置業者へのヒアリングはおよび現地調査は,コロナ禍による移動制限で行うことができなかった. 2020年度の調査結果は,同年11月に行われたレジリエンと建築シンポジウムにおいてオンラインでの口頭発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては,応急仮設住宅として利用されたトレーラーハウスの仮設住宅として利用された後の調査である.すでに応急仮設住宅としての利用は終了しており,利用終了後の実態調査を行う予定である. 通常のプレファブ型応急仮設住宅では,利用後はほぼ解体されるが,トレーラーハウスは可動性が高いため別な場所,別な用途での再利用が可能である.その再利用の実態調査は,トレーラーハウスの災害時利用の有効性を評価する上で重要であると考えている.安平町,厚真町の第一次調査ではすでに,応急仮設住宅として利用した後は,自宅として利用者が住み続けるという計画があり,それ以外のトレーラーハウスの移設状況を調査したいと考えている. また,コンテナ式移動空間も国内での災害時の大規模利用事例が増えてきており,コロナ禍の状況次第ではあるがそれらの動向も調査したいと考えている.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で最重要調査は実行することができたが,そのほかの調査を行うことがほぼできなかった.本研究はフィールドワークが中心となっているので,予算を消化できないという結果が生じた.
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