2021 Fiscal Year Research-status Report
北海道胆振東部地震におけるトレーラーハウスを用いた仮設住宅に関する研究
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20K14910
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
土屋 真 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (40552287)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トレーラーハウス / 応急仮設住宅 / 北海道胆振東部地震 / 移動空間 / モバイルスペース / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究実施状況については、2020年度に行った一次調査について、概要を日本建築学会北海道支部の研究報告会にて、2021年6月で学会発表を行った。内容は、発災してからトレーラーハウスを利用した応急仮設住宅が配備されるまでにかった時間、利用されたトレーラーハウスの間取り、設置されたトレーラーハウスの法的区分、インフラストラクチャーとの接続状況、トレーラーハウスを利用した方々の職業などを明らかにした。その結果、トレーラーハウスの応急仮設住宅設置にかかる日数もプレファブ型応急仮設住宅設置にかかる日数もほぼ同じであることが明らかになった。その原因としては、インフラ工事業者がプレファブ型応急仮設住宅の工事に優先的に取り組んだためである。また設置場所に関して、プレファブ型は仮設住宅団地として設置されていたが、トレーラーハウスは個人住宅の敷地内に設置されていることが確認された。理由としてはトレーラーハウス利用者の職業属性と関係があり、農業に従事しているなど、農作物や家畜の監理などで自宅を離れることができない人々がトレーラーハウス型応急仮設住宅を利用している実態が明らかになった。本調査においては、自宅を離れることなく避難をしたいというニーズを明らかにした。 2021年度はコロナウィルス感染症の状況を伺いつつ、2次調査を行った。二次調査では、応急仮設住宅としての利用を終えたトレーラーハウスの再利用の実態について調査を行った。その結果、厚真長、安平町でも再利用が行われていることが確認された。厚真長では11台仮設住宅として利用していたうちの、6台を再利用していた。安平町では7台利用していたうちの3台を利用していたのに加え、新たに2台購入していた。それぞれ、サテライトオフィスやスタートアップ支援の場などに利用されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究は2021年度で終了する予定であったが、コロナ禍の影響で出張の自粛などが求めれたたため計画通りフィールドワークを行うことができなかった。具体的には2次調査まではなんとかコロナ禍の合間、調査を行うことができたが、3次調査を行うことができなかった。3次調査は行政では、トレーラーハウスを供出した民間事業者に対して行い、1,2次調査で収集しきれなかった写真資料を収集する目的で行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方針としては、3次調査を行い、行政が監理していたトレーラーハウスの台数に加え、トレーラーハウスを実際に供出した民間のトレーラーハウス事業者に対しても再利用の実態を明らかにする予定である。2次調査においては、仮設住宅として利用されていたトレーラーハウスに対して、サテライトオフィスやスタートアップ支援事業などに利用されていた他、被災者の本設の住宅として利用されている事例も確認された。厚真町では、トレーラーハウスを車両ではなく建築物として布基礎の上に設置されている事例が確認された。本事例は非常に重要な事例であり、調査の際許可の関係で写真資料を入手することができなかった。三次調査ではそれらの写真資料を入手したい。 これらの調査結果を2022年度は論文にまとめる予定である。論文では、北海道胆振東部地震において上述の学会発表で行った内容に加え、応急仮設住宅としての利用を終えた後の再利用の実態について報告し、トレーラーハウスを用いることで考えられる新しい災害支援のシステムについて考察を行う。 また同様の事例は長野県の千曲川氾濫の際に設置されたトレーラーハウス型応急仮設住宅でも存在する言われており、コロナウ禍の状況次第ではある、長野市に設置されたトレーラーハウス型応急仮説住宅の再利用の実態に関しても調査を行いたい。
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Causes of Carryover |
当初2021年度で研究を終結する予定であったが、コロナ禍の影響で出張の自粛が求められ、計画通りにフィールドワークを行うことができなかった。金額の余剰はフィールドワークを行う旅費についてのもので、2022年度はフィールドワークを行い予算を利用する計画である。
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