2020 Fiscal Year Research-status Report
将来都市気候特性を考慮した都市高温化対策の適所導入支援ツール作成
Project/Area Number |
20K14913
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
横山 真 福山市立大学, 都市経営学部, 助教 (00848608)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 都市高温化 / 数値シミュレーション / 地球シミュレータ / d4PDF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、将来都市気候の数値シミュレーション結果を活用し、近年の都市高温化に対して、「どのようなエリア」に「どのような都市高温化対策」を用いれば、地域の気候特性を考慮した都市高温化緩和型の都市づくりが行えるかを示す計画支援ツールを作成することを最終目的とする。 令和2年度は、地方都市である広島県福山市を対象に小学校の百葉箱を活用した夏季気温の同時多点実測調査(43地点)を行い、実測調査に基づく現状気温分布の把握と数値シミュレーションの精度検証用データを整備した。また地球シミュレータ上の大気海洋結合モデルMSSG(Multi-Scale Simulator for the Geoenvironment)を用いて、福山市全域における現状都市気候と将来都市気候の数値シミュレーション(それぞれ水平解像度100m)を行った。ここで将来都市気候の数値シミュレーションでは、地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)の2℃上昇実験データの一部を抽出し、境界条件として用いた。これら2つの数値シミュレーション結果の比較からは、沿岸部における日中の海風がもたらす気温低減効果の低下といった将来都市気候における気候特性の変化が一部推察された。また将来都市気候の数値シミュレーション結果(気温・風速・熱収支)を用いて、福山市の都市計画区域を対象に海風による気温低減効果に着目したゾーニングを行った。海岸線からの距離に加えて、沿岸部の丘陵地形が風下の気候特性に影響を与えること等が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を大都市だけでなく地方都市にも適用していくこと、また今後予定している対面でのワークショップの開催可能性を見据えて、当初設定していた神奈川県横浜市に加えて、広島県福山市を対象地に含めることとした。令和2年度は、福山市を対象とし、数値シミュレーションの精度検証に用いる実測データの収集に加えて、当初横浜市を対象に予定していたMSSGによる将来都市気候の数値シミュレーションの実施および将来都市気候の数値シミュレーション結果との比較を行うことができたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は将来都市気候の数値シミュレーション結果を蓄積しつつ、各気候特性ゾーンから抽出したモデル市街地を対象に、MSSGによる高解像度の都市気候数値シミュレーションを実施する。さらに気候資源活用のための都市形態改善シナリオを作成し、将来都市気候におけるシナリオ導入前後の効果検証を行う。
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Causes of Carryover |
参加する国際学会のオンライン化に伴う参加費の値引きや新型コロナウイルス感染拡大に伴う出張旅費の大幅な削減などにより、使用計画に大幅な変更が生じたため、次年度使用額が発生する状況となった。次年度の論文投稿料や英文校正費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)