2020 Fiscal Year Research-status Report
災害被災想定地域における災害対策からみた保育施設計画要件の再検討に関する研究
Project/Area Number |
20K14916
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
藤井 里咲 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (90849530)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 保育施設 / 災害対策 / 避難所 / 地域施設 / 施設計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目にあたる2020年度は、東日本大震災および熊本地震によって被害を受けた自治体を対象に、保育施設の災害対策や避難所活用について、アンケート調査により明らかにした。結果、自治体による保育施設への支援体制の有無や保育施設の避難所活用実態を把握できた。避難所指定においては、震災後、被災のため避難所指定を外れた施設がある一方、幼児連れの親子に適した避難所であることから、具体的な運用方法を検討する自治体もあることが分かった。他方で、保育施設の避難状況や復興計画、災害対策について自治体が把握できていない状況が多数見受けられた。 以上のことから、保育施設の災害対策や避難所活用などに関して、その詳細を把握するには、保育施設への調査が最も重要であること、更に、自治体による施設への支援が多様であることから、日本全国において、どのような支援が実施されているのか明らかにする必要があると考えた。従って、日本全国の保育施設を対象に、避難所に指定されている施設と指定されていない施設、それぞれ1,500施設を無作為に抽出し、合計3,000施設へ、保育施設の災害対策や避難所活用、自治体支援などに関するアンケート調査を実施した。現在、アンケート入力と分析を行っている。 また、今年度予定していたインタビュー調査がCOVID-19の影響により実施できなかったことから、アンケート結果の分析をもとに、特徴ある施設、自治体を抽出し、社会状況を見て来年度以降、実施する予定とした。 今後の研究としては、災害に対する保育施設の具体的な対策や事前復興、地域施設としての役割について、建築的特徴、ソフト面における対策、立地、地域連携、自治体支援などに着目し、調査分析を行うことが重要であると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、東日本大震災および熊本地震、2018年7月豪雨によって被害を受けた自治体を対象に、保育施設の災害対策や避難所活用について、アンケート調査およびインタビュー調査を実施する予定であった。しかし、アンケート結果より、保育施設の避難状況や復興計画、災害対策について多くの自治体で把握できていない状況が明らかとなった。従って、施設の災害対策や自治体から受けている支援などについて、保育施設を対象に調査することが最も重要であると判断し、日本全国の保育施設を対象に、アンケート調査を実施した。対象は、避難所に指定されている施設と指定されていない施設、それぞれ1,500施設を無作為に抽出し、合計3,000施設とし、保育施設の災害対策や避難所活用、自治体支援などに関する内容を聞いた。現在、アンケート入力と分析を行っている。 一方、今年度予定していたインタビュー調査がCOVID-19の影響により実施できなかったことから、調査のスケジュールを一部変更し、アンケート結果の分析をもとに、特徴ある施設、自治体を抽出し、社会状況を見て来年度以降、実施する予定とした。 進捗状況としては、概ね順調であるが、全調査に対し、COVID-19により若干の遅れが生じている。従って、今後の社会状況に合わせつつ、来年度以降は少し予定を早めて研究を実施したいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度実施した日本全国を対象とするアンケート調査により、当初の予定では把握できなかった全国の実態が把握できたことから、研究内容の大きな変更はないが、多様な実態と対策を明らかにするため、調査対象を日本全国に拡大することとした。今後は、アンケート調査結果に伴い、特徴ある対策を実施している施設や自治体を抽出し、詳細な調査を実施する。着目する内容としては、主に災害に対する保育施設の具体的な対策や事前復興、地域施設としての役割、建築的特徴、ソフト面における対策、立地、地域連携、自治体支援などである。 また、今年度予定していたインタビュー調査がCOVID-19の影響により実施できなかったことから、アンケート結果の分析をもとに、特徴ある施設、自治体を抽出し、社会状況を見て来年度以降、集中して実施する予定とした。インタビュー調査では、具体的な災害対策の方法や自治体による支援の有用性、保育施設計画などについて着目し、お話を伺う予定である。 更に、上記の調査を実施した上で、保育施設における災害対策とその有効性、必要な支援などについてまとめ、報告、提言を行いたいと検討している。
|
Causes of Carryover |
今年度予定していたインタビュー調査がCOVID-19の影響により実施できなかったことから、予定していた調査費用を使用できなかった。従って、来年度以降、本年度実施したアンケート結果の分析をもとに、特徴ある施設、自治体を抽出し、社会状況を見て訪問インタビュー調査を実施する。訪問インタビューの実施に合わせて、必要な機器(ボイスレコーダーや調査用ノートパソコン)も購入する予定としている。
|