2022 Fiscal Year Research-status Report
災害被災想定地域における災害対策からみた保育施設計画要件の再検討に関する研究
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20K14916
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
藤井 里咲 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (90849530)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 保育施設 / 子ども施設 / 災害対策 / 水害対策 / 避難所 / 地域施設 / 施設計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目にあたる2022年度は、2021年度にまとめたアンケート調査のデータをGIS等を用いながら、より詳細な分析を行った。加えて、自由記述にてご回答頂いた内容についても見直し、保育施設の災害への備えの実態と、不安要素などを抽出した。結果として、備蓄量や延べ床面積などの数値データからは分からなかった、保育士の負担に繋がる要素がいくつか抽出できた。災害備蓄を見直すために、自治体等からの補助金等の援助の必要生にも着目してきたが、今後、保育士の仕事量や人手不足に対する負担にも着目する必要がある。 例えば、災害時の施設開放に繋がる建築的不安の項目としては、大人用のトイレ不足があげられたが、同時に、日常的な保育現場においても大人用のトイレが近くにないことから、保育士はなかなかトイレに行くことができず、保育室の近くに大人用トイレを設置してほしいという声が聞かれた。その他、災害用備蓄を保管するスペース不足もあげられたが、保育施設全体での収納スペース不足から、保育士の休憩スペース等も収納に利用されるなどといった課題もあげられた。また、災害時に最も必要なものとして、マンパワーという回答があり、日常的な人手不足問題がもあげられた。災害時への備えという観点からも、子ども達だけでなく、保育士の働く環境も念頭に調査を行う必要性が伺えた。以上のことから、災害対策としての施設強化に加えて、保育士の負担軽減のために建築的にどのような対策がとれるのか検討する必要があると考えている。 現在、こうしたアンケート調査の結果を調査協力先にご報告するための報告書を作成しており、2023年度に発送予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度には、1回目のアンケートの結果をまとめ、協力頂いた施設に対してご報告を行う予定であったが、1回目のアンケートの結果が想像以上に多く、特に自由記述等の文字データの分析に時間がかかってしまった。加えて、COVID-19の影響により、地方の保育施設に対してインタビュー調査に伺うことが困難であり、全体としてあまり研究を進めることが叶わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、1回目のアンケート調査の結果を協力先施設にご報告する予定である。加えて、アンケート調査と2021年度に実施したインタビュー調査から明らかになった内容を踏まえ、ご協力頂いた施設に対して、より詳細な災害対策に対する建築的状況と保育士の負担について、追加のアンケート調査を実施したいと考えている。その後、可能であれば複数の施設に対して訪問インタビュー調査を実施したい。 また、本年度は最終年度であることから、総括として、研究のまとめを行う予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、特に地方の保育施設へのインタビュー調査が実施できなかったことから、主に旅費に関する経費を使用できなかった。今年度は、一部計画を見直し、追加のアンケート調査を実施すると共に、状況を見て、インタビュー調査にも伺う予定である。 また、国際学会に参加し、最新の研究を把握するとともに、海外の災害対策についても視察調査を行い、日本の保育施設において実用可能な対策があるか検討したいと考えている。
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