2020 Fiscal Year Research-status Report
「公共景」の概念化と実装に向けたデザインガイドラインに関する研究
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20K14919
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉江 俊 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (60844248)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公共景 / 景観 / 公共空間 / 再開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、公共景の概念整理と調査計画の作成を行ったのち、新型コロナウィルスの流行を受けて、公共空間の利用調査を行うまえに先回りしてVR実験環境を整えるよう試みた。これによって、アイトラッキング解析ソフトウェアTobii Pro Eyeとアイマークレコード機能のあるVRヘッドセットを用いて、事前に360度で撮影した動画を再生し、被験者が目視している対象の推移を記録する技術を確立した。具体的には、①被験者の眼球運動を正確にとらえるアイキャリブレーション、②パノラマ撮影した動画の違和感ない再生、③視線の動きをヒートマップとネットワークという二つの方法で解析する手法、等の要素技術を確立した。 分析に当たっては、年齢など被験者属性ごとの共通性や異質性を比較する方法の検討や、視線の動きに対して「とどまり」「まとまり」「もつれ」「往復」「すべり」という5つの眼球運動を定義することによって、景観を解釈する方法を考案した。これにより、研究構想当初よりもさらに緻密に景観印象評価実験を行うことができるようになった。 以上のことから、当初予定していた「到達点1-1)公共景の概念整理と適切な対象選定」と「到達点2-2)VR技術を用いた景観評価実験手法の開発」は、概ね完了したといえる。 副次的な成果として、公園や公開空地に限らない身近で小規模な公共的空間についての共同研究を行い、日本建築学会計画系論文集(査読付きの学術誌)に掲載されるなど、7つの査読付き論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究業績で記したように、2020年度中に取り組む課題として予定していたた「到達点1-1)公共景の概念整理と適切な対象選定」に加えて、次年度から本格的に取り組む予定であった「到達点2-2)VR技術を用いた景観評価実験手法の開発」を先回りして概ね完了したといえる。 加えて、公共空間整備をふくむ「都市再生」に関する研究体を結成し、再開発事業を得意とする株式会社アール・アイ・エー、小さな取り組みの積み重ねでエリアの価値を高める事業に取り組む有限会社ハートビートプラン、大学と共同で様々な実践を重ねるアーバンデザインセンター大宮など、様々な実践者たちと議論する環境を整えた。以上のことから、想定以上の進捗を達成したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度には、実際にVR景観印象評価実験を行い、「公共景」を構成する景観エレメントの分析を行う。新型コロナウィルスの流行が長期化するなか、公共空間の利用実態をどのタイミングで撮影するかは注意深く検討する必要があるが、概ね春-夏の間に撮影を完了することを目指す。利用者への直接のヒアリングは差し控えることとするが、2020年度に新たに考案した「とどまり」「まとまり」「もつれ」「往復」「すべり」という5つの眼球運動の解析によって、景観の知覚について代替の分析を行うよう目指す。
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