2022 Fiscal Year Research-status Report
地方圏における戸建て住宅活用型シェアハウスの住宅セーフティネットへの導入可能性
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20K14920
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
佐藤 知子 (大庭知子) 九州産業大学, 建築都市工学部, 准教授 (90823823)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 住宅セーフティネット / 居住支援協議会 / 住宅確保要配慮者 / 空き家 / 地方圏 / 高齢者 / シェアハウス |
Outline of Annual Research Achievements |
R4年度は、セーフティネット住宅情報提供システムに登録されている物件を調査対象とし、各県(政令指定都市、中核市)から提供された登録情報をもとに、項目別に集計・分析を行った。また、新住宅SN制度上での高齢者向け共同居住型住宅の展開可能性を検討するため、セーフティネット住宅情報提供システムに2022年10月時点で登録されている119棟、1,177戸の共同居住型住宅を調査対象として、HPから情報を取得し、集合住宅と戸建てを項目別に集計・分析を行った。得られた知見より制度運営上の課題を検討した。 住宅SNに登録される物件の特徴は、築年数10年程度の木造低層集合住宅が多く登録されており、その大半は業界団体提携による一般住宅物件であることを確認した。低廉化されていない市場家賃や、戸建て空き家活用の面では制度自体の課題が残るが、供給確保の面では特定の不動産業者(ビレッジハウス・D社)との提携は登録数の増加に一役買っている。登録数が増加し、本制度の利用者が増えることで、制度の周知に繋がることが期待できる。しかし、空き家の活用という面では特定の業者に偏ってしまう現状は課題が残る。 また、共同居住型住宅の物件の特徴は、高齢者の受け入れをしている集合住宅活用型の物件では専用の施設等が多く登録されている。さらに戸建て活用型の物件でも、高齢者の受け入れをしている物件が半数を超えている。このことから、自立高齢者向けの共同居住型住宅が普及する可能性もあると考えられ、今後、本制度上で建物の確保だけでなく、ソフト面でのサポートが求められる。 今後は新住宅セーフティネットについて一般の入居者と、住宅セーフティネット経由の入居者とのかかわり方を含めた、入居者同士の繋がりや、入居後の日常支援サービス、在宅生活支援サービス、高齢者向けの介護支援サービスなどの制度上の支援のあり方についての議論が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国の登録物件数の変動が大きかったためデータ取得に予想より多くの時間を要した。 また、高齢者向けシェアハウスの先進事例調査を実行する予定であったが、コロナウィルス感染拡大防止に配慮し、実地調査を見送った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究スケジュールの【A】制度運営体制の実態調査(R2に実施)、【B】地方圏シェアハウスの整備・運営形態調査・分析(R3,4に実施)、【C】地方圏住宅確保要 配慮者向けシェアハウスの事例調査・分析(R2に一部実施)に関しては全て着手しており、R5は【C】事例分析に取り組む。 R4年度までの研究成果による本制度の課題として、戸建て住宅の登録の促進が挙げられる。そのため、今後は戸建て空き家活用システムについての検討が必要であり、R5年度は、高齢者向けや新たな戸建て空き家活用手法などに着目し、戸建て住宅を活用したシェアハウスの先進事例の調査を実施する。 具体的には、コロナ禍で保留にしていた高齢者向けシェアハウスの先進事例調査を実行する。また、戸建て空き家を活用したシェアハウス運営の先進事例の調査を開始する。空き家情報の取得方法や改修費確保の仕組み、シェアハウス運営形態等に着目し、全国の各地域で発生している新たな空き家活用の取り組みを調査及び選定中であり、1組織からは調査協力の了承を得ている。 複数の空き家活用システム事例の特徴分析より、地方圏における戸建て空き家を活用したシェアハウスの住宅セーフティネット制度への導入可能性について考察及び検討を行う。
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Causes of Carryover |
事例調査の対象が高齢者向けの施設であるため、コロナ禍での実地調査を慎重に行う必要があった。結局、コロナ禍では実地調査を一度も行えなかったため、予定していた旅費の使用がなかった。 R5年度は、実地調査を実行するため、旅費及び調査協力機関への謝礼、調査協力者への謝金等の支払いが発生する予定である。
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