2020 Fiscal Year Research-status Report
A study on the way of the terminal care of marginal settlement by analyzing consciousness of decision-making entity
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20K14922
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
崔 熙元 小山工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (30825667)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 過疎地域 / 地域調査 / アンケート調査 / 地理情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、限界集落の将来に向けた対策としてターミナルケアの考え方を適用し、集落のターミナルケアを集落の存続と同等な選択肢の一つとして捉える。そして、ターミナルケアを選択するまでの当該集落及び周辺地域(移転先)の住民の意識構造を分析し、ターミナルケアの方法や開始タイミング、必要な期間等について考察することで、集落のターミナルケアのあり方を探ることを本研究の目的とする。 そのため、まず初年度の目標を人口の減少が深刻な地域の現状の把握とした。限界集落は、具体的な基準が定まっておらず、法律(過疎地域自立促進特別措置法)の基準により定義されている、過疎地域を調査対象とし、その現状を把握した。 具体的には、全国過疎地域(817市町村)の行政担当者を対象に、過疎地域の現状と、今後の方針、日本の人口減少に対する将来像に関するアンケート調査を行い、分析を行った。分析の結果、自地域に対する将来像と、日本全国に対する意識間にはギャップがあり、また、地域の問題状況の深刻さによる将来像の意識に差が存在することが明らかになった。 また、地理情報データを用いた分析を行った。当初は、過疎地域を対象に詳細な分析を行う目的で、小地域単位の分析を予定していたが、廃置分合の状況が非常に複雑で、地域コードが変更された地域が多かったため、時系列の分析が難しく、メッシュデータによる全国の分析に研究方法を変更した。現在は、メッシュデータの分析によるさらなる二次分析と、以上の内容のまとめた論文を執筆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過疎地域の詳細な現状分析のため、小地域単位でデータを収集した。しかし、廃置分合による、地域コードの変更はよくあるものだが、過疎地域の場合、そのケースが予想をはるかに超えるほど多く存在することが分かった。そのため、当初予定していた小地域単位での分析ではなく、詳細のメッシュ単位の分析に方向を転換し分析を進める一方で、地域を限定的に選定して小地域の分析を行った。 また、当初は地域を選定し、過疎地域の行政担当者への直接訪問によるインタビュー調査を予定していたが、新型コロナの発生と緊急事態宣言等による出張と外部との接触の自粛の方針により、調査方法を見直し、全地域を対象としたアンケート調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の最大の目標は、限界集落の廃村までの過程を明らかにすることである。そのため、去年度の全国の地域分析の内容をさらに深め(6月までを予定している)、その結果から廃村までの過程のモデリングを試みる。ここで重要となるのが、多様な時系列データの収集と、多様な視点からの分析となる。また、徹底的にデータを分析する一方で、去年度の結果から将来的な廃村の可能性が高い地域を数か所選定し、実地調査を行い、これらの地域が抱えている問題について分析を行う。 その後、3年目からは当該地域の住民と、周辺地域の住民の意識調査を行い、地域のターミナルケアに対する意識構造を明らかにし、4年目にはワークショップを通して、さらに具体的で実質的なターミナルケアに対するニーズや実施方法、また進め方について考察を行う。
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