2023 Fiscal Year Annual Research Report
前近代オスマン朝の住宅史の再構築:接客空間の形成を中心に
Project/Area Number |
20K14936
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
川本 智史 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (10748669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オスマン朝 / 都市 / 住宅 / 接客空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である2023年度には二度の現地調査を実施した。2023年9月にはトルコ共和国のテキルダーおよびエディルネを訪問し、18世紀の都市住宅および、16世紀の都市住宅遺構を調査した。また2024年3月にはエジプトのカイロ、アレクサンドリア、ラシードを訪問し、16世紀以降の住宅や、18世紀以降オスマン朝の強い影響のもと計画されたとされる都市住宅の調査をおこなった。これに加えて、現地調査地では研究文献の収集につとめた。 本研究全体における成果は次の通りである。第一に、1455年イスタンブル住宅調査台帳の分析により、15世紀半ばのイスタンブルに存在した住宅の大半が小規模な平屋家屋だったと結論づけられた。これは18世紀以降オスマン領で普及した中層で規模の大きい都市住宅とはまったく性格を異にする。16世紀エディルネに建設された都市住宅は初期の貴重な実例であったが、残念ながら今回の調査で完全に改築・破壊されていることが確認された。第二に、エジプトにある住宅建築との差異が浮き彫りになった。カイロでは中流以上のすまいは中庭を中心として、カーアないしマクアドとよばれる複数の開放的な接客空間をもつ。一般に中庭をもたず、閉鎖的な接客空間を用いる18世紀以降のオスマン朝の住宅建築とは異質であり、異なる起源をもつことが示唆される。第三に、前近代オスマン都市の行政組織とその近代化についても記述したオスマン・エルギンについての論考を発表し、また彼の著作の翻訳刊行作業を続けている。これは都市空間全体がどのようにデザイン・コントロールされていたかを伝える基礎的資料であり、今後さらなる分析を進める。
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Research Products
(3 results)