2020 Fiscal Year Research-status Report

スペイン・カタルーニャの近代化過程に関する建築論・都市論的読解と現代的展開

Research Project

Project/Area Number	20K14938
Research Institution	Kyoto University of Arts and Crafts
Principal Investigator	人見将敏京都美術工芸大学, 工芸学部, 講師 (30707899)
Project Period (FY)	2020-04-01 – 2022-03-31
Keywords	カタルーニャ / 近代 / G.A.T.C.P.A.C. / 建築論 / 都市論
Outline of Annual Research Achievements	本研究は、1930年代のスペイン・カタルーニャ州を中心に建築・都市の近代化に関する活動を行った建築家集団G.A.T.C.P.A.C.に着目したものである。当該集団による都市計画提案は実施には至らなかったものの、その中には、1980年代から行われ現在のカタルーニャ州・バルセロナにおける豊かな生活環境を導いた、優れた都市デザイン手法の一つとして現在も称賛される都市計画バルセロナモデルへの影響が散見される。上記の点に着目しながら研究を進め、令和２年度は、現在の社会状況の影響によりスペイン現地での一次資料（図面資料等）の収集・調査は実行できなかったことから、国内において進められる作業として、国内外の既往研究の調査やこれまでに入手した資料の整理・分析を行った。既往研究の調査では、現代に至るまでのカタルーニャ州・バルセロナの都市形成史や都市計画内容の整理、また都市形成や当該集団の建築・都市計画提案と密接に結びつくと考えられる当時の社会背景の一端についての整理、ならびに、当該集団による建築作品の中で現存するものについての情報の整理等を行った。そしてこれまでに入手した資料としては、当該集団により1930年代当時に発行された機関紙『A.C.』等の中から、建築・都市計画提案に着目しながら整理を行った。上記の調査は、次年度行う予定である当該集団の計画内容の調査・分析ならびに建築論・都市論的読解のために重要な意義を持つ。また、当該集団が活動を行った年代の建築の中で現存するものを網羅的にまとめた資料はこれまで国内に存在しなかったことから、上記の整理はスペイン・カタルーニャにおける建築思潮に関する研究の一助にもなると考えている。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 4: Progress in research has been delayed. Reason 本研究の研究対象であるG.A.T.C.P.A.C.の一次資料は、そのほぼ全てが国外のスペインやアメリカの現地機関に所蔵されており、それら資料を現地に赴き入手・調査することが本研究の最初に行うべき内容であった。しかし、現在のコロナ禍の影響により、令和２年度はスペイン・バルセロナへの渡航が不可能な状況にあった。そのため、研究計画立案時に予定していた、現地での資料収集や実地調査が実行できていない。上記の点が進歩状況の遅れの原因となっている。
Strategy for Future Research Activity	現在の進捗状況にも記したが令和2年度に予定していたスペイン現地での調査が未実施である。そのため今後の研究の推進方策としては、現在のコロナ禍の社会状況が改善され渡航・現地での調査が可能な状態になった際には、未消化分の調査を令和3年度に実行に移したい。その上で、入手資料（図面や設計関連資料）の整理と読解を行い、当初の計画のように、当該集団の活動内容・理念の建築論・都市論的読解を行いたいと考えている。ただし、上述の調査時期に関しては社会状況の好転次第というところもあり、その間、他資料より、当該集団の活動時期における背景的側面の調査・整理や、現在入手済みの資料の読解・分析、また現地機関のデジタルアーカイブ等を利用して入手可能な資料の収集を進めていくことを計画している。
Causes of Carryover	現在のコロナ禍の影響により、研究対象地であるスペイン・バルセロナへの渡航が不可能な状況にある。そのため研究費支出の大半を占める予定であった旅費が支出することがなかった。また、渡航時に現地で収集する予定であった書籍・資料に対する支出も同様の理由から使用することがなかった。社会の動向から渡航の機会を探りながらの研究の進行であったことが、未使用額が大幅に増加した理由である。今後の使用計画として、渡航先も含めた社会の状況次第にはなってしまうものの、令和3年度には、令和2年度に予定していた現地調査を行い、当初予定していた調査回数を確保したいと考えている。研究の遂行のために、現地調査で使用する旅費及び資料収集のための物品費に支出の多くを充てることを計画している。