2022 Fiscal Year Research-status Report
イタリア北部のアドリア海沿岸及びその周辺における地域形成史に関する研究
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20K14940
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
樋渡 彩 近畿大学, 工学部, 講師 (90793696)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヴェネツィア / ラグーナ / ラヴェンナ / パドヴァ / ポルティコ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、コロナ禍の影響により、現地調査が難しかったため、手元にある文献資料の把握と、Googleストリートビューを用いて考察を進めた。 ヴェネツィア周辺のラグーナについては、地図史料から変化を概観し、日本建築学会において「ラグーナ・ヴェネタの歴史的変遷に関する研究」を発表した。河川による土砂の堆積で水面が埋め立てられたり、河川によって島が削られたり、地形の変化が激しいことを確認した。また、ヴェネツィア同様に群島だったラヴェンナにおいては、埋め立てが進み、完全に陸地になったことを確認した。ラヴェンナの形成過程においては、2023年度に掘り下げる予定である。また、グラード、アクイレイアについても見ていく。製塩業については、現在残っていないため、シチリアのトラーパニで情報を収集する予定である。 ヴェネツィアの本土側については、主にパドヴァの形成史の考察を進めた。パドヴァに着目した理由は、ヴェネト州やエミリア・ロマーニャ州などに多く見られる「ポルティコ」が多く存在するためである。ポルティコは建設年代により形が様々で、そのポルティコの種類の豊富なパドヴァで、ポルティコの形状と年代の指標作成を試みた。ポルティコの建設年代の指標が作成できれば、ヴェネト州およびほかの地域の都市形成史の考察が可能となる。パドヴァでは、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック、ネオ・ルネサンス、現代など各時代のポルティコ形状が確認できた。2022年度は19種類を確認し、その年代把握に努めた。その成果をの一部を建築学会で発表した。2023年度は、引き続き、パドヴァの指標作成を行い、同時にヴィチェンツァ、トレヴィーゾ、メストレなどほかの都市および集落のポルティコ形状も考察し、形成過程を試みる。 地域全体を把握することで古代ローマ帝国やヴェネツィア共和国の影響について考察を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、現地調査を出来ていない状況である。2023年度に現地調査を行い、史料収集など研究を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
グラードからラヴェンナまでの一帯を研究対象としているが、ローマ帝国の影響を考える必要があるので、研究対象地以外でも史料収集を幅広く行う。また、ヴェネツィア共和国で行っていた製塩業を理解するためには、現在でも製塩業を行っているトラーパニ(シチリア州)またはチェルヴィア(エミリア・ロマーニャ州)で古来の製法を把握する必要がある。2023年度は、ヴェネト州を中心に、ラヴェンナ(エミリア・ロマーニャ州)からアクイレイア(フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州)の範囲で研究内容を深めるとともに、資料や情報収集においては、ローマ帝国に関する把握や製塩業の把握をほかの地域の資料で補い、考察を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により現地調査を行えなかったため、次年度使用額が生じた。次年度に調査を進める予定である。
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