2020 Fiscal Year Research-status Report
塗料法での励起光マッピングによる表面圧力・温度・変形が同時計測可能な風洞試験手法
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20K14959
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
田口 正人 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 講師 (70806794)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感圧塗料法 / 感温塗料法 |
Outline of Annual Research Achievements |
航空機等の空力特性を調べる手段として風洞試験がある.本研究は風洞試験で使用するための新しい計測技術の開発を目的としている.具体的には,実験模型の表面圧力,表面温度,(風圧による)変形の3つの量を同時に計測できる手法である.これらは航空機等の空力特性を明らかにするうえで大事なパラメータである.本手法は,感圧(温)塗料法という塗料型の圧力及び温度のセンサ技術と画像相関法という物体形状の検出技術の2つの既存技術を組み合わせたものである. 上述の目的を達成するため,初年度は塗料法において新しい方法論を提案しそれに必要な塗料の開発を行った.具体的には,塗料法を励起する光源の波長を切り替えることで圧力(または温度)センサとしての塗料の性質を変調するための実験を行った.従来型の塗料法では,1種類の波長(例えば青色)の光を塗料に照射し,これによって塗料が発する光をカメラなどで検出することが一般的である.これに対して,本手法は,新たな塗料を開発し励起光源の波長(例えば青色と緑色)の切り替えにより,塗料の性質を圧力に敏感なモードと温度に敏感なモードに切り替える能力を目指した.複数通りの塗料の組成(塗料中の発光色素の種類と混合比)を様々に変化させて,塗料の圧力・温度感度を較正試験装置を用いて調査した.その結果,目標としていた光源切り替えによるセンサ機能の切り替え能力について,少なくとも2通りの色素の組で達成できることがわかった.これは,今後本研究を進める上で礎となるものであり,次年度以降はこれらの塗料を用いて,画像相関法による模型変形の計測も含めた計測技術の確立を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は4段階に分けられる.すなわち,(1)光源切り替えにより変調可能な塗料の開発,(2)開発した塗料の風洞試験による実証試験(模型変形を除く),(3)模型変形する場合のデータ処理手法の確立,(4)最終的な計測手法の風洞試験による実証(模型変形含む),である.これらのうち第(1)段階の塗料開発については塗料の種類や混合比をパラメータとした実験を繰り返す必要があるため比較的時間を要すると考えられたが,初年度のうちに概ね終えることができた.また,すでに第(2)段階の風洞試験へ向けた準備を進めている. 以上より,「おおむね順調に進展している」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の研究計画に沿って,初年度に開発した塗料による計測が実際の風洞実験で有効に働くかどうかを確かめる.その結果,塗料の特性を改善する必要がでた場合には,初年度のプロセスにより塗料の特性改善を併せて図りながら研究を推進する.また,研究題目に記載のある励起光マッピング(異なる波長の励起光源を空間的な分布をもって照射する手法)についても,第(2)段階の風洞実験の際に合わせて実施する.次年度のうちに,第(3)段階の模型が変形する場合のデータ処理手法の確立に着手する予定である. 最終年度は,第(3)段階を引き続き行い,その後,第(4)段階の模型変形を伴う風洞試験をもって本研究で目指す最終的な計測手法の実証を行う.
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた光源装置の調達を次年度に繰り越したため次年度使用額が生じた.現状では現有している光源装置を用いて対処できたが,今後の研究進展に応じて予定していた光源装置を調達する見込みである.
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