2020 Fiscal Year Research-status Report
Signal analysis on synthetic aperture radar for velocity vector measurement and applicability evaluation to ocean current measurement
Project/Area Number |
20K14961
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 毅郎 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (30771505)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 合成開口レーダ / 速度ベクトル / 海域 / 水域 |
Outline of Annual Research Achievements |
合成開口レーダ(SAR: Synthetic Aperture Radar)による移動体の速度ベクトル計測は、海洋分野において海流などの流れ場の計測に応用が期待されている。これまでSARを用いた移動体の速度計測方法は、2台のレーダを並べて計測し、2台の中央から計測対象を見た視線方向の1方向成分しか計測できないという欠点があった。そこで、レーダ信号解析において、マルチルックという信号処理を活用することで2方向の速度成分を求める新たな計測理論が申請者らにより示された。2方向の速度成分が既知となれば移動体の進行角度も推定されるため速度ベクトル計測が可能となる。この手法を実際の海域や水域における速度ベクトル推定において応用可能か検証するために、本研究では数値シミュレーション及びSAR画像解析を行う。まずレーダ信号解析の特性を把握し、速度ベクトル計測の適用性を評価する。今年度は、これまでに提案したマルチルックを活用した速度ベクトル推定方法の基礎的な検証を行った。速度ベクトル推定において必要な移動角度の情報を得るために、まず水面の移動角度の推定を行った。例として河川の水面の移動角度の推定に対して適用した。河川の場合、画像から河川の角度が既知であるため、移動角度の推定結果と比較することで精度検証を行う。航空機搭載の合成開口レーダ画像に対して適用した結果、概ね良好な精度で角度推定が行えることを示した。従って、従来の速度推定方法に加えて、角度の推定を追加することで速度ベクトル推定が可能であることを示した。また、画像解析と数値シミュレーションによる検討から、航空機搭載の合成開口レーダはアジマス方向のビーム幅が比較的広いことから、本研究で実施した手法で移動角度推定に適していることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーダ信号解析の特性把握や、基礎的な検証を完了したことなどから、概ね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は他の速度ベクトル推定方法の検証や、海流や船舶などの海洋分野における移動体への適用性を確認する。また、航空機や人工衛星搭載の合成開口レーダに対して解析を実施する予定である。
|