2020 Fiscal Year Annual Research Report
音波伝搬時間計測と数値海洋モデルによる高精度流況モニタリングシステムの構築
Project/Area Number |
20K14964
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷口 直和 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (30711733)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 流速場モニタリング / 双方向音波送受信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、数値海洋モデルを音波送受信データから得られる経路平均流速にデータ 同化させた、高精度沿岸流速分布の準リアルタイムモニタリングシステムの構築であり、本研究では、瀬戸内海の約100平方キロメートル程度までの比較的小領域の湾や灘へ適用できるシステムを目指した。本年度は、まず、搬送波周波数18kHzで動作する音波送受信装置を4台製作した。その際に、本研究の前年に行った予備実験で生じた装置の送信回路トラブルを解決し、装置の安定性を向上させた。予備実験と同じ海域(三原瀬戸)に製作した4台の装置を設置し(忠海二窓港、大久野島フェリー桟橋、幸崎西漁港、大三島常石造船ドック跡地(盛港堤防に変更))、約2か月間音波送受信実験をおこない、得られた音波送受信データを解析し、経路平均流速を算出した。実験期間中の2日間に、後方散乱信号のドップラー効果を利用した超音波流速計(ADCP)を使った曳航流速計測を行い、音波送受信から得られた流速とADCPから得られた結果を比較した。 双方向音波送受信を用いた流速計測法を、ADCPを使った曳航観測結果と比較し、高い再現性を示すことを確認した。双方向音波送受信から得られた流速は、複雑な地形形状に起因する半日周潮よりもはるかに短い周期の流速変動を捉えていた。また、定期的にパルス状の流速変化が現れる事も捉えていた。双方向音波送受信をもちいた流速計測は、短時間変動を長期的に計測できるため、時々刻々と複雑に潮流が変化する海域の流速変動を効率的に把握できる。数値海洋モデルを音波送受信データから得られる経路平均流速にデータ同化させることで、高精度沿岸流速分布の準リアルタイムモニタリングシステムを構築できると考える。
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