Rendering Fatigue Crack at the Weld Toe Zone Harmless by Needle Peening for Welded Joints of Aluminium Alloys

2022 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20K14970
• Research Institution: National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology
• Principal Investigator: 笛木 隆太郎 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80846056)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: ニードルピーニング / アルミニウム合金 / 溶接継手 / 金属疲労 / 欠陥の無害化

Outline of Annual Research Achievements

液化天然ガス（LNG）の輸送に用いられているLNG船のタンクには高い信頼性が要求され、定期検査では、疲労き裂等の欠陥が生じやすい溶接部を中心に非破壊検査が実施されている。しかし、非破壊検査には検出限界があり、一般的な非破壊検査では深さ1 mm以下の表面欠陥は検出されない場合が多い。非破壊検査で発見されない欠陥を疲労強度に負の影響を及ぼさないよう無害化することができれば、タンクの損傷発生率を大きく低下させることが可能になるものと期待される。
そこで、本研究では、LNG球形タンクで使用されているアルミニウム合金A5083P-O材の突合せ溶接継手を対象に、溶接止端部へのニードルピーニング(NP)の施工による欠陥の無害化挙動を実験により解明することを目的とした。
板厚20mmのアルミニウム合金A5083P-O材の突合せ溶接試験体を製作し、(1) 溶接まま材、(2) 溶接止端部へのNP施工材、(3)溶接止端部への深さ1mm半円スリット導入材、(4)溶接止端部への深さ1mm半円スリット導入後NP施工材の4種類の試験体を用意し、疲労試験に供した。
(1)の溶接まま材の200万回疲労強度（以下、疲労強度）に対し、(2)のNP施工材の疲労強度は11％改善された。(3)の深さ1mm半円スリット導入材の疲労強度は溶接まま材に比べて44％低下した。一方、(4)の深さ1mm半円スリット導入後NP施工材は(2)の無欠陥のNP施工材と同じ疲労強度を示した。
以上の試験結果より、アルミニウム合金A5083P-O材の突合せ溶接継手に対し、溶接止端部にNPを施工することにより、溶接継手の疲労強度が11％改善されるとともに、溶接継手の疲労強度を44％低下される深さ1mmのき裂状表面欠陥が疲労強度に及ぼす負の影響を無害化できることが明らかとなった。