2020 Fiscal Year Research-status Report
企業倒産が取引ネットワークに与える影響と自発的なレジリエンスの評価
Project/Area Number |
20K14982
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
尾崎 順一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (40846739)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 複雑ネットワーク / 社会・経済物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画に則り、個々の企業間取引において何を、何のために取引しているかを大まかに分類した。これは企業のミクロダイナミクスやサプライチェーンの解析には必須であり、個々の企業にとって重要度の高く代替不可能な取引と代替可能な取引を識別するためである。具体的には、ネットワーク上のリンク間の類似度(距離)を定義する。最初の指標として、ネットワークにおける共引用関係を調査し、それに業種の情報を加えることで、企業同士の類似度を定めた。最初の近似として、その組み合わせによって企業間取引のカテゴライズとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画に則り、必要な研究を行うことができた。したがって、概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、ある企業が倒産した場合に周りの企業がどのように代用不可能な取引を復旧するかをモデル化する。具体的には、企業倒産があった場合の取引相手の企業を調査し、取引を切り替えているかどうかを見る。本研究において用いる株式会社帝国データバンクが保有する企業間取引データは取引のスナップショットの年次の時系列データであるため取引の切り替えについての情報はないが、新たな取引が生成された場合、それが過去の倒産企業とのリンクの属性が近い場合、代替された取引と定める。このリンクの切り替えの確率を見積もり、企業倒産のレジリエンスモデルを定める。 2022年度は、2020年度と2021年度において得られた知見を相互にアップデートしながら研究を行う。つまり、2020年度において得られた取引の類似度(サプライチェーンに相当)を元に企業倒産をモデル化するとともに、その逆、企業倒産のダイナミクスにおいて切り替えられた取引はその企業にとって必要なサプライであったとみなすことで、取引の類似度をアップデートしていくことができる。このように、ネットワーク上の類似度とモデルの両方を更新しながら研究を行う。 2023年度は、それまでに得られた知見を元に企業間取引ネットワークの時間発展のモデル構築・アップデートを行う。これによって、現実の企業ネットワークにおける不均一性を考慮に入れたネットワーク生成モデルが構成される。また、それらを並列にシミュレーションすることによって、企業間取引ネットワークにおける脆弱性などのリスク評価を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、前倒し申請を行い、計画段階より高スペックなワークステーションを購入し、研究の効率化を行った。次年度の研究計画に大きな変更はないが、コロナ禍において出張等は難しく、物品購入・論文投稿費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)