2020 Fiscal Year Research-status Report
待ち行列システムに基づくソフトウェアテスト工程の進捗性評価手法の開発
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20K14983
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
南野 友香 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (30778014)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ソフトウェア信頼性 / ソフトウェア信頼度成長モデル / チェンジポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
迅速な開発・出荷が求められる現在のソフトウェア開発現場では,コストやテスト要員といった限られた開発資源を効率的に使用しなければならない.また,開発資源がテスト工程の進捗度に対しどのような影響を与えるのかを明らかにし,有効な開発管理技術を適用する必要がある.本研究では,テスト工程の進捗管理技術の向上に焦点を当て,以下に示す2種のアプローチを行った. まず,テスト工程で投入される資源であるテスト時間要因とテスト労力要因の関係性を明らかにするため,2変量ソフトウェア信頼度成長モデルを開発した.具体的には,これらの要因をテスト時間関数で表現し,従来の1変量ソフトウェア信頼度成長モデルを2変量モデルへと拡張した.さらに,この2変量モデルに対し,予算制約に基づく最適化を行うことで,予算を考慮したうえで検出可能なフォールト数を推定した.最後に感度分析を行い,テスト工程の進捗度や費用対効果を評価した. 次に,テスト環境の変化(チェンジポイント)によるテスト進捗度への影響を明らかにするため,近年,機会損失を減少させる点において有効とされている開発形態を研究対象とし,最適なテスト終了時刻の推定を行った.この開発形態では,テスト工程の途中で出荷を行い,出荷後にはテストチームにユーザが加わってフォールト発見を行う.そのため,出荷時刻に実質的なテスト要員の増員が行われており,著しくテスト環境が変化している.本研究ではそのような特徴に着目しながら,テスト環境を考慮したソフトウェア信頼度成長モデル(チェンジポイントモデル)と従来モデルを用いて出荷前後のフォールト発見過程を表現し,コスト最小となる最適なテスト時刻および総期待ソフトウェアコストを推定した.従来モデルによるコスト関数との比較により,テスト環境の変化による最適なテスト終了時刻および総期待ソフトウェアコストへの影響を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度では,2変量ソフトウェア信頼度成長モデリングに関する研究について,一定の成果を得ることができたため,Elsevier社の書籍(分担執筆)にて体系的にまとめているところである.また,テスト環境の変化によるテスト工程の進捗への影響に関する研究については,予定していた一部の成果が得られたため,2021年度に発表を予定しており,準備を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,人的資源の有効活用といった観点でさらに研究内容を発展させ,テスト進捗評価手法の精度を向上させることを計画している.また,フォールト修正・除去作業の進捗度に関する評価尺度を充実させ,効率的なテスト要員体制を提案する.得られた成果は研究報告活動を通してブラッシュアップし,最終的に学術ジャーナルや国際会議等において公表したいと考えている.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の影響により,参加予定であった学会が中止・延期となったため,旅費等の使用計画に変更が生じた.2021年度は,国際会議等がオンライン開催されるため,参加費等を支出する予定である.
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