2021 Fiscal Year Annual Research Report
A detailed kinetic model for condensed phase reveals hypergolic mechanism of propellants for space crafts.
Project/Area Number |
20K14993
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
伊里 友一朗 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (90794016)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自着火 / 詳細反応モデリング / 化学推進 / 液相反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、液相反応に関する詳細反応モデル(素反応・その速度定数・化学種全ての熱力学データ)構築技術を確立し、高速過渡的化学反応である宇宙機用推進剤の自着火現象を解析し、その安全制御を目指すものである。特にヒドラジン/四酸化二窒素(N2H4/NTO)推進剤の自着火反応を第一原理よりモデル化する技術を構築し、その機構解明を目的とした。 2020年度までに連続誘電体モデル(PCM)を量子化学計算(QM)に組み込んだQM/PCM法を用いてN2H4/NTOの自着火反応に関する詳細反応モデルを構築していたが、実験的検証が不十分であった.2021年度は類似組成物である硝酸ヒドラジン水溶液の100℃等温条件下における分解反応実験値が得られたため、これと詳細反応モデルを比較することでモデルの検証を行った。N2H4/NTOの詳細反応モデルに硝酸ヒドラジンを取り扱うための反応機構を追加することでモデルを改良し、実験条件と同じ温度条件における硝酸ヒドラジンの分解や主たる生成物であるアンモニアやアジ化水素の生成をシミュレーションしたところ実験値を良好に再現した。 従来法のQM/PCM法を利用した詳細反応モデリングと並行して、その熱力学データ(特にエントロピー)推算精度の改善も試みた。2020年度の検討より、水溶液特有の課題(Hydrophobic効果)があることがわかったが、分子動力学シミュレーションでこれを推算できることがわかった.この効果を補正した熱力学データは実験値をよく再現することがわかった。 今後はこの新しい熱力学データ推算方法を取り込んだ液相の詳細反応モデリング方法を確立すること、およびHydrophobic効果をさらに簡便に求める方法の開発が必要である。
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Research Products
(6 results)