2020 Fiscal Year Research-status Report
個々人に最適化された自動運転ためのドライバの視覚認知特性の解明
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20K14996
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡藤 勇希 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (50843950)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 知覚認知特性 / 操舵/加減速行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、個々のドライバの視覚認知特性を理解することで、運転における人間らしさを解釈し、新たな自動運転設計の指針を得ることを目的とした。そのために、2020年度では深層学習モデルによる視覚認知特性の解析手法を提案し、心理物理学実験を通じて解析手法の妥当性の検証を行った。 1. 人間の身体的特性(知覚むだ時間、神経筋のダイナミクス)を考慮した深層学習モデルを提案した。提案モデルがドライバの認知特徴を正しく反映できるかを確認するために、心理学実験を通じて検証した。提案モデルから得られた結果より、ドライバは注視点を中心とした視野20度以内の情報を操舵行動に利用している。また加減速行動では、注視点に関係なく、Extended Tangent Pointと呼ばれる地点を制御に利用していることが確認された。これらの結果は、操舵行動と加減速行動の両方において、提案モデルが従来から得られている認知特性と同じ結果を示している。つまり、提案した深層学習モデルは、ドライバの知覚認知特性を解析するための手法となり得ることが期待される。 2. 提案モデルが、従来から知られる結果と同じ結果を示すだけでなく、新たな環境下で新たな特性を抽出するためには、提案モデルの運転特徴量の認識精度を評価する必要がある。そこで人間ではなく、数理モデルを用いてデータを生成することで、モデル結果の信頼性を定量評価する手法を提案した。その結果、正しく運転特徴量を抽出するためのモデル構造の議論を行うことができるようになり、より正確にドライバの知覚認知特性を解析可能な手法が効率的に開発することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書において2020年度は、ドライバの視覚認知特性の解析手法の考案、視覚認知特性の解析手法の妥当性検討、の2項目について研究することを計画していた。これらで定めた到達目標を達成していることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、引き続き深層学習モデルの提案とその妥当性の検討を行う。2020年度は、簡易的なシミュレータの環境下におけるデータをもとに深層学習モデルを提案し、ドライバの知覚認知特性の検証を行ってきた。2021年度はこれに引き続き、より複雑な環境下においてもドライバの知覚認知特性を正しく反映できることの検証を行う。深層学習モデルの提案に関しても、従来から用いられている深層学習モデルを応用するのみではなく、従来までの心理学実験から得られた知見に基づいた提案を行う。特に、人間のアテンションの発生メカニズムを応用することで、より正確にドライバの知覚認知特性を解析可能となることが期待される。 また、より幅広い研究対象者に対して知覚認知特性の検証をしていくことで、より一般化された特性を得ることが期待される。一般のドライバだけでなく、レーシングドライバなどのデータを収集することにより、様々なタイプのドライバの特性を解析していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる影響により、旅費に関する拠出が大きく削減されたため、次年度使用額が生じた。2021年度では、シミュレータによる実験に限らず、様々なフィールドにおける実車実験も考慮にいれて、引き続きドライバの認知特性の解析を行う予定としている。
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Research Products
(9 results)