2020 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災における宮城県での人的被害に関する研究
Project/Area Number |
20K14999
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
門廻 充侍 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (80819673)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 遺体発見場所 / 死因 / 宮城県 / 低体温症 / 溺死 / 焼死 / 犠牲者住所 |
Outline of Annual Research Achievements |
宮城県警から提供された東日本大震災における宮城県での犠牲者情報を分析し,今年度は,以下の3つの実績を得た.【1】遺体発見場所に基づく郵便番号単位の犠牲者数を分析した結果,名取市閖上が最多460名であった.次に,遺体発見場所と犠牲者住所を組み合わせたクラスター分析を行った結果,宮城県の10名以上の遺体が発見された13自治体は,以下の4つのグループに分類された.1)市外住民の割合が高い多賀城市は,浸水域の産業構造の影響が示唆された.2)自宅と同じ地区の割合が高い6自治体は,市街地の浸水,郵便番号界の面積の大きさの関係が示唆された.3)(自宅地区を除く)同じ自治体の割合が高い2自治体は,リアス部であり,郵便番号界の面積が小さい点,津波による隣接地区への漂流が示唆された.4)自宅と同じ地区,同じ自治体の順に割合が高かった名取市では,閖上地区での住民の犠牲に加え,小塚原への遺体漂着の可能性が示唆された.このように,グループごとに犠牲パターンは異なり,自治体のデザイン(中心部の位置,郵便番号界の大きさ)との関係が示唆された.【2】宮城県石巻市を対象に分析を行った結果,石巻市平野部では沿岸部の工業地域・港町よりも,やや内陸に位置する住宅地において,浸水深に対する溺死者率が高い傾向が確認された.また,門脇町および蛇田の比較から,焼死による人的被害軽減には,迅速な避難開始と二次避難場所の確保が有効であることが示唆された.【3】低体温症による犠牲者22名の分析結果から,低体温症犠牲者の中には,避難先で亡くなった方がいた可能性が示された.また,郵便番号単位での浸水率と低体温症率の関係から,低体温症犠牲者が津波到達時もしくはその後の避難時に,身体が濡れた可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災における宮城県での遺体発見場所に基づく犠牲者分布を郵便番号単位で明らかにできた.遺体発見場所と犠牲者住所の関係から,県内の13自治体は4つのグループに分類できることを示せた.石巻市平野部を対象に,津波外力と溺死者率の関係の検討に着手した.低体温症犠牲者の分析結果から,犠牲者の実態が明らかになってきた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実績を踏まえ,次年度は主に3つのテーマに着目する.1) 海上で発見された犠牲者を対象とした分析を行い,死因・自治体ごとの傾向,犠牲者住所との関係などの特徴を詳細に調べる.また,2) 瓦礫から発見された犠牲者を対象とした分析を行い,自治体の傾向,建物被害との関係などの特徴を詳細に調べる.さらに,3) 低体温症犠牲者の特徴を踏まえた実践的な対応方針について検討を行う.
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Research Products
(6 results)