2022 Fiscal Year Annual Research Report
深層強化学習による行動戦略の獲得:企業の地震津波被害における復旧計画
Project/Area Number |
20K15001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 芳樹 東京大学, 空間情報科学研究センター, 講師 (70794296)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エージェントモデル / サプライチェーン / 深層強化学習 / 災害復旧 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害時のサプライチェーン寸断の様子を捉えるために,個別企業レベルのマルチエージェントシミュレーションモデルを提案した. エージェントモデルは,ボトルネック企業と災害後需要の変化を考慮するモデルになっている.さらに,個別企業の復旧・復興及び産業構造(企業間取引関係)の変化も動的に考慮できるように拡張を行った.また,6種類のパラメータの486組み合わせに対してキャリブレーションを通じて最適なパラメータ設定を行った.シミュレーション結果と経済指標(鉱工業指数)の相関係数は0.86を示し,現実の経済指標に近い動きを再現することができた. また,寸断による被害波及推定結果をサプライチェーンの各企業の生産,在庫,出荷及び最終需要への供給量の時系列変化を中心に分析した.さらに,感度分析を通じて,各パラメータがサプライチェーンの回復に対する影響度も分析した.従来では把握できなかった個別企業の状況及びサプライチェーンの産業構造の変化を把握することが可能になった. さらに,このエージェントモデルをもとに強化学習の手法を用いて,企業エージェントが人間のように知能を持って行動ができるように,企業が自ら最適な行動戦略を獲得する学習フレームを開発した.学習後の企業エージェントは,周りの環境の変化に合わせて最適な行動を取ることが可能になる.これにより,現実に近いシミュレーションが可能になり,実際の災害後のサプライチェーンの時系列変化を分析することができる. 本研究ではサプライチェーンの空間情報を扱っており,時空間の側面から各地域や業種の復興状況を観測することができるのも特徴の一つである.最後に,産業界及び行政機関における本研究手法のユースケースについて議論した.
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Research Products
(8 results)