2022 Fiscal Year Research-status Report
有限温度磁性体の第一原理計算を応用した室温で高性能な磁気伝導材料の理論設計
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20K15017
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
小田 洋平 福島工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (80751875)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 異常ホール効果 / スピンホール効果 / スピン異常ホール効果 / 第一原理計算 / 不規則合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は強磁性体におけるスピン異常ホール効果の第一原理計算手法の開発と計算の実行に着手した。久保公式を用いた磁性体の異常ホール伝導度やスピンホール伝導度の計算方法については、ベリー曲率に基づく方法が主要な方法として幅広く用いられているが、本研究ではとグリーン関数に基づく方法を採用した。グリーン関数に基づく方法ではコヒーレントポテンシャル近似との組み合わせにより不規則合金の計算に対応できるようになる他、不規則による電子散乱に起因する緩和時間の効果を自動的に取り入れることが可能となる。本研究者はグリーン関数法に基づいて異常ホール伝導度とスピンホール伝導度を計算するプログラムを既に有していたことから、これを拡張して今回スピン異常ホール伝導度を計算するプログラムを開発した。はじめにプログラムを遷移金属合金に適用して計算精度に関する精査を行ったところ、グリーン関数の計算に必要なエネルギーの虚部については10**(-5)Ry程度の大きさを考慮すれば計算結果が本パラメータに依存しないことを確認した。また伝導度の計算におけるk点数については、10**7個のオーダーを考慮すれば定量的に信頼でき得るデータを得られたが、計算結果の収束が不十分であった。もう一桁k点数を増やして計算した結果を示すことが望ましかったものの、計算機環境の制約のため不可能となった。計算機のメモリ使用がより削減できるプログラムを開発することが課題として残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スピン異常ホール伝導度を計算するプログラム自体は作成できたものの、研究実績の概要で示した通り計算精度について不十分な点が残された。そのため研究計画を1年延長して残された課題に取り組むこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を1年延長して計算機メモリの使用を削減するようプログラムの改造を行い、実際の物質を対象とした計算に取り組む。
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Causes of Carryover |
次年度使用額を生じた理由として次の事柄が挙げられる。(1)2022年度に他科研費との合算使用により計算機を調達したことで、本課題での負担割合が小さくなり物品費による支出が予定より少なくなった。 (2)出張の機会が少なく旅費の支出が想定を下回った。(3)研究期間延長に伴い2023年度の研究費を残す必要が生じた。次年度使用額については、出張旅費や学会参加費、論文投稿費等での使用を計画している。
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Research Products
(3 results)