2020 Fiscal Year Research-status Report
Twinning-induced toughening forward hard and tough ceramics
Project/Area Number |
20K15018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 紘士 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20823701)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | セラミックス / ジルコニア / ナノ双晶 / 双晶誘起強靭化 / フラッシュ焼結 |
Outline of Annual Research Achievements |
セラミックス材料は,その優れた硬度・耐熱性・耐食性により,超高圧・超高温・超腐食などの極限環境で「構造材料」として活躍している。一方で,脆く破壊靭性に乏しい点は,構造材料としては致命的な欠点であり,セラミックス研究における最大の課題となってきた。そこで本研究は,幅広い温度・環境において適用可能であり,硬度を犠牲にせず靭性を向上させることが可能な「ナノ双晶強化」に着目し,(1) セラミックスにおけるナノ双晶強化の原理を解明することと,(2) 高硬度・高靭性バルクセラミックスを創出することを目的として実施された。 2020年度には,正方晶型のナノ双晶ドメイン構造をもつ4.5 mol%イットリア安定化ジルコニア (4.5YSZ) に対する擬単結晶マイクロピラー試験の結果をもとに,ナノ双晶による変形および強靭化機構を調査した。本材料におけるナノ双晶ドメインは,材料に加わる応力場に応じて,以下のように変形・強靭化の双方に寄与したと考えられる。 (1) 変形への寄与:[001]c方位近傍からの単軸応力下では,すべり変形に先んじて双晶界面が移動・消滅することで,c軸が圧縮方向と垂直に再配列する「強弾性ドメインスイッチング」によって変形が生じた。 (2) 強靭化への寄与:へき開亀裂先端での多軸応力場により,双晶ドメインの核形成と界面移動が生じ,亀裂進展を抑制する「双晶誘起強靭化」の素過程が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は,セラミックスのマイクロ力学試験において,本研究の核心部である双晶誘起強靭化のメカニズムを直接観察することに成功し,研究目的のひとつである「セラミックスにおけるナノ双晶強化の理解」に向けて前進した。よって,現在までの研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,(1) 材料がもつ真の力学特性を測定することが可能な「マイクロ力学試験」と (2) 準安定相をもつバルクセラミックスを合成可能と考えられる「フラッシュ焼結」を組み合わせることによって推進される。2021年度は,マイクロピラー圧縮試験による双晶変形挙動の精密分析と,フラッシュ現象によるプロセス技術の構築に注力する計画である。
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Research Products
(6 results)