2021 Fiscal Year Research-status Report
Twinning-induced toughening forward hard and tough ceramics
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20K15018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 紘士 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20823701)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | セラミックス / ジルコニア / フラッシュ焼結 / ナノインデンテーション / 非弾性 / 粘弾性 / 擬弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,材料がもつ真の力学特性を測定することが可能な「マイクロ力学試験」と準安定相をもつバルクセラミックスを合成可能と考えられる「フラッシュ焼結」を組み合わせて実施される。2021年度は,イットリア安定化ジルコニア (YSZ) セラミックスへのフラッシュ焼結処理に伴って現れる非弾性現象を発見し、そのキャラクタリゼーションに注力した (H. Masuda et al. Acta Mater. 2022)。 3 mol%および8 mol% YSZに対するフラッシュ処理の前後で、超音波法による動的弾性率測定およびナノインデンテーション法による準静的弾性率測定を行った。超音波測定から得られた動的弾性率はフラッシュ処理前後で有意な変化を示さなかったのに対して、ナノインデンテーション測定から得られた準静的弾性率はフラッシュ処理後に低下し、この傾向は押し込み速度の低下とともに顕在化する速度依存性を伴っていた。この非弾性現象は、主に高分子材料で見られる粘弾性に近い性質をもち、フラッシュ処理によって材料中に導入された点欠陥が外力のもとで可逆運動することで生じたと考えられる。 本知見は当初の計画には含まれていない内容であるものの、本研究の軸となるフラッシュ現象を理解するうえで重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の要素技術であるフラッシュ焼結に伴う非弾性現象を発見できたことは科学的に重要な成果である。これは当初の計画には含まれていない内容であるが、フラッシュ焼結によって作製した材料の力学特性を理解するうえで重要な知見である。本研究は4年間という比較的長期間で余裕をもって計画された課題であり、全体の計画に大きな遅れはない。これらを鑑みておおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後2年間での主たる課題はフラッシュ焼結によって硬度・靭性をバランス良く兼ね備えたYSZセラミックスを得ることである。2022年度は、ナノ双晶強化が期待できる4-5 mol% YSZに対するフラッシュ焼結を行い、その力学特性評価を進める計画である。
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