2022 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of relationship between growth factor adsorption onto calcium phosphates exhibiting different solubility and osteoblastic differentiation
Project/Area Number |
20K15037
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濱井 瞭 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00824004)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | リン酸八カルシウム / 加水分解反応 / 溶解・析出 / タンパク質吸着・集積 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は,リン酸八カルシウム(OCP)結晶の溶解もしくは新規結晶の析出が主となる加水分解条件に対応し,成長因子モデルタンパク質の吸着・集積挙動が異なる傾向にあることが明らかとなった.このことから,本年度は,OCPの加水分解過程が成長因子吸着に及ぼす影響をより詳細に検討するため,成長因子モデルタンパク質の吸着等温線を解析した.その結果,加水分解過程によらず,モデルタンパク質の吸着等温線は,ラングミュアの式に近似された.この近似式から,タンパク質の吸着親和性および最大吸着サイト数を推定することが可能である.加水分解の促進をもたらす化学種の添加量に対する吸着親和性と最大吸着サイト数の変化の挙動は,OCPの加水分解の過程によって異なる傾向にあった.このことから,加水分解過程に対応するOCP結晶の形態変化と成長因子の吸着挙動が関連することが示唆された.さらに,非溶解性リン酸カルシウムの成長因子モデルタンパク質の吸着等温線も解析した結果,その化学環境に対する吸着挙動の変化はOCPと異なる可能性が示された. さらに本年度は,骨形成促進に関わる成長因子を吸着させたOCP共存下でのマウス骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)の培養を試みた.細胞培養に供する試料に対する成長因子の吸着条件やMSCの培養条件を検討し,最適な条件を見出すことができた.また,最適化した培養条件において,成長因子を吸着させたOCP上でのMSCの増殖を確認することができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の検討結果より,OCPの加水分解反応の過程の違いにより成長因子モデルタンパク質の吸着・集積挙動が異なる可能性が新たに見出されたことを受け,本年度ではさらにモデルタンパク質の吸着等温線の解析を実施したため,想定以上に時間を要した.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,非溶解性リン酸カルシウムとOCPに対するモデルタンパク質の吸着親和性を比較する予定である.また,本年度では,細胞培養実験の最適化を実施することができた。そのため,次年度は異なる加水分解反応の過程におけるOCPの成長因子吸着挙動とMSCの骨芽細胞分化との関係性をより詳細に検討する計画である.
|
Causes of Carryover |
加水分解過程の異なるOCP表面での成長因子モデルタンパク質の吸着等温線の解析に時間を要し,細胞培養実験による骨芽細胞分化の詳細な解析は次年度に実施することとなったため,次年度使用額が生じた.次年度使用額は,成長因子の吸着・放出量の測定や細胞培養関連の試薬・消耗品の購入費および,大学共通機器の利用料に加え,学会や論文投稿等の成果発表に関連する費用として充てることを計画している.
|
Research Products
(5 results)