2021 Fiscal Year Research-status Report
実験・計算の融合によるアモルファスSiGe合金の低温結晶化メカニズムの解明
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20K15049
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥川 将行 大阪大学, 工学研究科, 助教 (70847160)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アモルファス / シリコンゲルマニウム / 結晶化 / 構造解析 / 分子動力学シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は,まずGeを対象として,気相シミュレーション手法の確立および成膜速度の異なるアモルファス堆積モデルの作製を行った.実験と同様に気相法シミュレーションでも成膜速度の遅い方がその密度は小さくなった.このシミュレーションモデルは実験で得られた傾向をよく再現した.今年度は,作製したアモルファスGe気相堆積モデルの加熱保持し,保持中の構造変化を調べた.加熱による構造変化挙動は,モデル作成の際の成膜速度および保持温度によって異なった.低温で加熱保持した場合には,いずれのモデルにおいても主に第一結合の再配列が起こった.モデル作成の際の成膜速度によって異なる初期アモルファス構造を反映して,加熱構造緩和後のアモルファス構造が異なった.一方,高温で加熱保持した場合には第一結合に加えて,第二結合以遠の再配列も見られた.この場合,初期のアモルファス構造の違いに関わらず,加熱構造緩和後のアモルファス構造は同様の構造となった.今年度はGeモデルの研究に加えて,アモルファスSiGe合金堆積モデルの作製も行った.組成の異なる三つの合金組成の気相堆積モデルを成膜速度の異なる条件で作製した.成膜速度が大きくなるにつれてアモルファス薄膜の密度は大きくなった.これはGeの研究で見られている傾向とは逆である.Si-Ge合金では,異なるボンド長のSi-Si,Si-GeおよびGe-Geの原子対が存在することで,堆積中の原子のふるまいがGeとは異なり,形成されるアモルファス構造が異なることが推測される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に計画していた,気相堆積アモルファスGeモデルの構造変化シミュレーションを順調に終え,アモルファスGeモデルの加熱構造変化挙動が明らかとなった.加えて,Geモデルでの知見を応用して,計画していた気相堆積アモルファスSiGeモデルの作製も行った.したがって,当初計画に準じておおむね順調に研究が進展しているものと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,今年度に加熱構造変化挙動を調べたアモルファスGeモデルに関して解析を進める.幾何学ベースのパーシステントホモロジー解析も適用して,アモルファス構造と構造変化の関係に対する理解を深める.加えて,2021年度に作製した気相法アモルファスSiGeモデルを加熱してその構造変化過程を調べる.GeとSiGe合金で,形成されるアモルファス構造モデルの成膜プロセス条件に対する挙動が異なるため,局所原子配列およびその加熱構造変化挙動も異なることが期待される.これらの解析に基づいて,実験で見られたユニークな結晶化の起源を明らかとする.
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Research Products
(2 results)