2020 Fiscal Year Research-status Report
前駆体原子配列を利用した金属酸化物触媒担体のナノ構造操作と触媒特性の解明
Project/Area Number |
20K15051
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
野崎 安衣 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (60795516)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アモルファス合金 / 酸化セリウム / 触媒材料 / 多孔質金属酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにCe-Alアモルファス合金から選択的にAlを溶出し,得られた多孔質CeO2は前駆体の原子配列の影響を強くうけ,球状やロッド状等,CeO2形状の作り分けができることを見出している.本研究では,調製したCeO2を触媒として利用しCeO2形状が触媒特性に与える影響ついて検討した.なお,触媒特性は,TG測定装置を用い,煤燃焼反応開始温度で評価した. 異なる原子配列を有するCe-Al合金を前駆体合金として利用することでAlを溶出して得られる多孔質CeO2のリガメント形状を制御した.Ce-Alアモルファス合金を前駆体として利用することで高表面積かつ球状リガメントを有する多孔質CeO2が得られ,微細な結晶子を有するCe-Al結晶合金からはロッド状多孔質CeO2を得られることを見出した.原子配列に起因する前駆体合金からのAl溶出速度の違いが多孔質CeO2のリガメント形状の違いにつながったと考えられる. ロッド状多孔質CeO2を触媒として利用することで最も低い温度から煤の燃焼が開始された.TEM観察によりロッド状CeO2の表面には(110)面が多く露出していることが分かり,(110)は他の面に比べ酸素吸蔵放出能が高く[T. Montini, Chem. Rev., 116, 5987(2016)],酸素の解離・吸着が起こりやすいことが高活性を示した要因であると考えられる.一方で,調製したCeO2を触媒担体としてギ酸分解反応に利用したところ,酸化反応の結果とは異なり,球状リガメントを有する多孔質CeO2を担体とすることで高い触媒活性を示した.ギ酸分解反応において,(100)面が露出している球状CeO2は,(110)面が露出したロッド状CeO2よりもプロトンを安定に引き抜き易く,この触媒担体機能と担持金属とが協調した結果,高い触媒活性が発現したと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CeO2ナノ粒子の触媒担体特性はその形状によって大きく変化する.酸化状態の変化(Ce3+⇔Ce4+)が容易に起こる(110)面が露出したロッド状CeO2が他の形状に比べ,有毒ガスの酸化分解等に非常に優れた触媒担体特性を示すことが報告されており[M. A. Centeno, Catalysts, 6, 158 (2016)],形状の作り分けにはこれまで一般に水熱合成法が用いられてきた. 本研究では,脱合金法を用い,異なる原子配列を有するCe-Al合金を前駆体合金として利用することでAlを溶出して得られる多孔質CeO2のリガメント形状を球状やロッド状に制御することに成功した.原子配列に起因する前駆体合金からのAl溶出速度の違いが多孔質CeO2のリガメント形状の違いにつながったと考えられる. また,調製した多孔質球状CeO2(271 m2/g) は,多孔質ロッド状CeO2(144 m2/g)や参照CeO2(50-150 m2/g)よりもはるかに高い表面積を示すことを見出した. 触媒特性は,次に挙げる2通りの担持金属と触媒反応で評価した.①Au担持 メチルベンジルアルコールの酸化反応,②Au-Pd担持 ぎ酸からの水素生成反応.①においてはロッド状多孔質CeO2が,②においては多孔質球状CeO2が,参照CeO2よりも極めて高い触媒活性を示すことを見出した.
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Strategy for Future Research Activity |
前駆体原子配列が触媒担体の形状・露出結晶面・触媒特性に与える効果を明確にするため,高エネルギー加速器研究機構(KEK-PF),高輝度光科学研究センター(SPring-8)を利用して,昇温過程や触媒反応中におけるin situ XAFS測定を駆使し,アモルファス合金の結晶化過程における構造解析や金属酸化物の電子・構造状態を詳細に追跡する.また,XPS測定やTEM・SEM観察などの手法も組み合わせ,試料の表面電子状態,形状を解析することで,原子配列変化が金属酸化物の構造に与える影響について明確にする. CeO2は光触媒活性を示し,Ce3+の存在によって可視光下での光触媒活性に影響を与えることが報告されている[S. A. Ansari, RSC Adv., 4, 16782-16791(2014)].本研究で脱合金法を用い調製したCeO2の光吸収スペクトルは水熱合成法で調製したCeO2よりも高波長側にシフトしていることが分かり,脱合金法で調製した金属酸化物は可視光下で優れた光触媒特性を示す可能性が示唆された.脱合金法で調製した金属酸化物の構造やその特性について明確にするため,光触媒特性も検討する.
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大防止のため,学会が中止・オンライン開催,県外出張禁止となり旅費や人件費・謝金を使用しなかった。 本研究で調製した試料が可視光下で優れた光触媒特性を示す可能性が示唆されたため,次年度に光触媒特性を検討したく,機材(キセノン光源:100万円)購入のため物品費の一部を繰り越した.
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Research Products
(5 results)