2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of High Corrosion Resistant Fuel Cell Catalyst Surface Based on Understanding Corrosion Mechanism of Platinum Alloy
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20K15059
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大井 梓 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (00803876)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 白金合金触媒 / 耐久性 / 腐食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,固体高分子形燃料電池(PEFC)の正極触媒として使用される白金合金触媒の高耐久化を実現するために,白金合金触媒の腐食劣化機構に及ぼす材料因子の影響を調査することを目的として実施している.材料因子として具体的には,添加元素の種類およびその組成の二つに着目をしている. 本年度は,腐食劣化機構解明に必要不可欠であるチャンネルフローマルチ電極法(CFME)と呼ばれる,溶液フロー電気化学測定手法の高精度化に取り組んだ.その結果,従来は定性的にしか検出できなかった,白金銅合金からの銅の腐食量を白金の腐食量と共に定量的に検出する条件を見出した.この測定法を用いて,PEFC作動環境を模擬した試験環境下において,白金銅合金中からの銅の腐食開始電位と腐食量,およびそれらに与える銅組成の影響が明らかになった.一方で,腐食量を評価する手法の特性上,CFMEは白金鉄合金や白金銅合金といった限られた種類の合金にしか適用できない欠点がある.そこで,分析対象合金の制限をほぼ解消可能な,新たな測定手法の開発にも取り組み始めたところである. また,当初の研究予定では着目していなかったが,高耐食性の発現にパラジウムが有効な添加元素となることが明らかになりつつある.その有効性は,特に白金パラジウム合金中のパラジウム組成が極めて多い時に顕著であり,同組成の白金合金からの添加元素の腐食量を比べると,パラジウムは他の添加元素より腐食量が三桁も小さな値となることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,腐食機構を検討する上で重要な手法であるCFMEの定量性向上により,模擬PEFC作動環境下における白金銅合金の腐食挙動を明確にできた.また,種々の白金合金の腐食機構解明のための新規な測定手法の開発も,徐々にではあるが進んでいる.以上から,当初の計画に沿っておおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,CFMEおよび新規開発中の測定手法を用いて,より詳細な白金合金触媒の腐食機構解明を目指す.具体的には,白金と添加元素がどのような因果関係をもって腐食が進行していくかを明らかにする.また,この腐食機構に及ぼす添加元素の種類およびその組成の影響を体系的にまとめて,白金合金触媒の高耐久化に必要な材料因子を検討・提案する.
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Causes of Carryover |
\1,133は本年度の消耗品の購入により生まれた微少な繰り越し分であり,次年度の助成金の使用計画を大きく変更するものではない.したがって,使用計画に変更はない.
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