2020 Fiscal Year Research-status Report
Formation of corrosion-resistant and flexible film on flame-resistant Mg alloy by high-speed liquid injection
Project/Area Number |
20K15063
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中村 嘉恵 日本大学, 理工学部, 助教 (10772741)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マグネシウム合金 / 耐食性皮膜 / 高速噴射 / ラバルノズル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は,Mg 合金表面に耐食性皮膜を形成するために,まず,送風機を用いて空気を高速噴射するシステムを試作した.このシステムの妥当性を検討するために,3Dプリンタによって先細ノズルを製作し,送風機によって空気をノズルに流入させ,空気を高速噴射できるかを調べた.本来は流体を高速噴射させるには,ラバルノズルを用いる.しかし,ここでは,本実験系によって流体の高速噴射が可能かどうかを検証するために,噴射流速の理論値計算が容易な先細ノズルを対象とした. この際,噴射された流体速度を精度よく測定するために,簡易的な風洞装置も同時に製作し,その風洞内にて実験を行った.結果,送風機によってノズルに空気を流入させる方法では,高速噴射に達するために必要な量の空気をノズルに流入させることは難しいことが明らかとなった.そのため,別の方法で高速噴射を実現しようとする装置の設計を行い,図面作成を完了した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,令和2年度内に,空気の高速噴射で音速の噴射を可能にしたいと考えていた.しかし,応募者自身,過去に流体に関する実験は未経験だったため,必要な器具,設備といった基本的な内容に関しても不明なことが多く,手探り状態だった.そこで,ひとまず,送風機や3Dプリンタといった汎用性の高い機器を利用して,簡単に行える試実験を行った.その結果として,そもそも送風機から流出する空気をノズルを用いて圧縮する機構では,目的を達成するには無理があることが判明した. ここまで到達するのに当初の予定よりも時間を要したため,進捗状況は遅延してしまった.ただ,令和2年度の試行錯誤によって,次にすべき内容の目処を立てることができたため,総合的には「やや遅れている」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初は,(1)「溶液の高速噴射装置の製作」を約6ヶ月,(2)「皮膜形成条件の見極め」を約6ヶ月,(3)「皮膜の分析・評価」を約12ヶ月で行う計画を立てていた.実際に研究に着手してみると,(1)「装置の製作」に,より長い時間が必要であることが分かった.よって,次年度も (1)段階目:溶液の高速噴射装置の製作を続け,その後,(2)段階目を約3ヶ月,(3)段階目を4ヶ月程度をかけて行う予定とする. このように,令和2年度の結果を踏まえて新しく製作しようとする装置は,ノズルの流入口側で高圧の水蒸気を発生させ,この圧力によって高速噴射を行うものである. (1)「装置の製作」に時間を要したことによって,(3)「皮膜の分析・評価」 の期間を短縮することになるが,段階 (3) は,日本大学で所有している共通機器(SEM等)を利用するため,申請者自体が準備すべきものは多くない.よって,段階 (1) が完了していれば,研究期間内での計画遂行は可能と考えられる.
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Causes of Carryover |
「進捗状況」に記載したように,令和2年度は,まず高速噴射システムの妥当性検討のため,汎用性の高い機器(送風機,3Dプリンタ等)を利用して実験を行なった.この実験では,例えば,流速測定のためのセンサ等,高額でない機器を多数購入し,実験毎にそれぞれの機器を試した. このように,多くの機器を購入したものの,それら1点1点が高額ではなかったため,最終的にはわずかに予算が余った. 令和3年度は,既に作成が完了している,液体高速噴射装置の図面の機械加工を発注する予定である.また,液体噴射実験によって Mg 合金試験片の表面に付与される防食皮膜に対し,耐食性試験を行う際に使用する試薬,および皮膜を観察するための機器の購入を検討している.
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