2021 Fiscal Year Research-status Report
Formation of corrosion-resistant and flexible film on flame-resistant Mg alloy by high-speed liquid injection
Project/Area Number |
20K15063
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中村 嘉恵 日本大学, 理工学部, 助教 (10772741)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マグネシウム合金 / 耐食性皮膜 / 有機無機複合材料 / 高速噴射 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,(1)生分解性ポリマーを含む防食皮膜の分析,(2)液体高速噴射による表面処理装置の検討,の2点について実施した.本研究課題では,元々,Mg合金基板上に耐食性・柔軟性を有する防食皮膜の形成を目標をしていた.よって,(1)では,防食皮膜成分;水酸化マグネシウム Mg(OH)2 に,柔軟性を付与するための有機物を含有可能か確認することを目的として,水熱合成法によって,純Mg基板表面に有機-無機複合皮膜を形成できるか確認した.生分解性ポリマーとしてL-アスパラギン酸を用いた.その結果,皮膜からは主成分 Mg(OH)2 の他に,L-アスパラギン酸由来の窒素(N)も検出された.分析の結果,皮膜は,Mg(OH)2,炭酸マグネシウムMgCO3,酢酸マグネシウムMg(CH3COO)2,L-アスパラギン酸マグネシウムMg(C4H6NO4)2から構成されると推定された. (2)では,金属容器内の溶液を加熱することで生成した高圧蒸気を噴射する装置,および,蒸気環境下で金属基板を加熱しながら蒸気と金属基板を反応させるための装置について,設計・製作・評価を行った.その結果,現状ではどちらの装置もMg基板上に皮膜を形成するには至らなかったものの,実験装置を稼働することができるようになった.よって,令和4年度は装置に改良を加え,Mg合金基板上への防食皮膜形成を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)生分解性ポリマーを含む防食皮膜の分析では,本研究で目標とする,高速噴射による手法にて皮膜形成を行ったわけではないが,皮膜の主成分であり,耐食性を付与する物質;Mg(OH)2 に,有機物由来の物質を含有できることが明らかとなった. また,(2)液体高速噴射による表面処理装置の検討では,実験装置が稼働できるようになったことは大きなポイントといえる.これらのことから,「おおむね順調に進展している」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
耐食性・柔軟性を併せ持つコーティング層に関しては,ひとまず,高速噴射による方法ではなく,従来より一般的に行われている「水熱合成法」によって,分析用の皮膜を形成することを考えている.これにより,もし,実験装置が予定通り稼働しなかった場合でも,皮膜の性能評価を実施することが可能である.よって,令和4年度は,前述の方法によって生成した分析用皮膜について,その構成成分だけでなく,耐食性,柔軟性を評価していく. 液体高速噴射による表面処理装置に関しては,現在「金属容器内の溶液を加熱することで生成した高圧蒸気を噴射する装置」,および「蒸気環境下で金属基板を加熱しながら蒸気と金属基板を反応させるための装置」の2種類の装置について検討を進めている.これらの装置は,どちらも稼働できる状態にあるので,令和4年度は,実際のMg合金基板を対象に皮膜形成実験を繰り返して,改良を加えていく予定である.
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Causes of Carryover |
前年度に購入した計測機器,および試験片を引き続き使用して研究を進めたため,大きな出費が抑えられた.このことから,残額が生じた. また,次年度は製作した装置を使用して,なるべく多くの実験を行うことを計画している.そのため,試験片,試薬等の追加購入,および共通機器使用料などに予算を費やす予定である.
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Research Products
(1 results)