2022 Fiscal Year Annual Research Report
四次元その場観察による凝固組織をベースとした固液共存体の力学挙動の解明
Project/Area Number |
20K15071
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鳴海 大翔 京都大学, 工学研究科, 助教 (20827448)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 凝固 / 鋳造 / マクロ偏析 / 鋳造割れ / 固液共存体 / 放射光 / 時間分解トモグラフィ/4D-CT / 三次元X線回折/3DXRD |
Outline of Annual Research Achievements |
時間分解トモグラフィ(4D-CT)と三次元X線回折(3DXRD)を用いて、異なる固相粒径を持つAl-Cu合金の固液共存体の圧縮試験における内部組織の変化を三次元・時間分解その場観察した。 200-300ミクロン程度の粒径の個々の固相粒子の重心の移動を用いて固液共存体中のひずみ速度マッピングを計算した。圧縮過程において局所的に固相粒子間の距離が拡大する様子を捉えた。固相粒子間の距離が拡大した領域には周囲の領域から液相が流入していた。ひずみ速度マッピングによると拡大した領域の液相の圧力が低下しており、固相粒子の移動による圧力勾配によって液相が流動したことになる。また、液相流動によって気液界面が移動し試料内部のポロシティが拡大する様子も捉えた。3DXRDにより固相粒子の結晶方位測定を実現した。圧縮ごとの結晶方位変化から回転角度と回転軸方向を数値化した。粒状晶を用いたことで樹枝状晶よりも固相粒子の移動の抵抗が小さくなり、回転角度が30°を超える固相粒子も存在した。また、局所的に固相粒子間の距離が拡大した領域では固相粒子は回転軸方向を共有する傾向にあった。 平均粒径100ミクロン程度の固相粒子を用いた場合、拡大した固相粒子間に空隙(割れ)が形成する過程を捉えた。固相粒子間の距離が拡大したことで液相の圧力が低下したが、液相が供給されず空隙が形成していた。固相粒子の平均粒径が小さい、すなわち固液界面積が大きいため、固相粒子の間隙における液相透過率が低くなり、液相の供給が不十分になったことになる。粒子サイズによる変形挙動の差異および鋳造割れの形成に関する定量データが獲得された。ただし3DXRDに関しては検出器の空間分解能と固相粒子間距離が同程度であるため、十分な精度で個々の固相粒子の結晶方位を決定することは困難であり、観察装置や解析手法の課題が明確化できた。
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Research Products
(15 results)